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「東京ガールズコレクション」の商標も取得。DLE株主総会レポート=公認会計士・平林亮子

8億円で取得した「東京ガールズコレクション」の商標。使い道は?

株主からの質問にもあった、東京ガールズコレクション(TOKYOGIRLS COLLECTION、以下「TGC」)。2005年にガールズウォーカーというサイトのイベントとして開催されたのが始まりです。10代、20代に絶大な人気を誇るモデルが登場する、日本発祥の大々的なファッションショーです。

パリコレなどと大きく異なるのは、モデルの洋服がリアルクローズであるということ。リアルクローズというのは、ファッションショー用の洋服ではなく日常的に着用できる、普通の店舗で売っている洋服のこと。

観客は一般の方で、ランウェイを歩くモデルさんの服を欲しいと思ったら、その場で携帯サイトから購入できるというシステムになっています。当初は、特別なイベントとして1回きりの開催の予定だったようですが、マスコミに大々的に取り上げられたり、莫大なお金が動いたりしたことから、その後も継続して開催されるようになりました。

2015年6月、DLEはこのTGCの商標権を8億円で購入しました。どうやら、莫大なお金の動くイベントであったために、利権がいろいろややこしくなり、TGCの様々な権利が切り売りされ、商標権については、ファンドが引き取った後、最終的にDLEが手に入れるという結末になったようです。

商標権とは、登録した名称やロゴマークを独占的に使用できる権利。書籍に使う場合、衣料に使う場合など、用途区分ごとに権利を登録しなくてはなりません。DLEが手に入れた商標権を調べてみると、貴金属、キーホルダーなどのアクセサリ、カバン、衣料品、広告、セミナーや研修会、ファッション情報の提供、飲食料品、マニキュア、メガネ、敷物、おもちゃなど、あらゆる場面に使う権利を持っているようですね。つまり、DLEの許可なしに、「TOKYO GIRLS COLLECTION」という言葉を使えないということです。

「TOKYO GIRLS COLLECTION」の認知度を考えると、この名前を使う権利を持っていることは、大変な財産。とはいえ、8億円の投資です。10年で回収するとしても、8千万円の利益が必要。ということは、ざっと計算すると、税引前で1億2千万円くらいの利益は必要。ただ、現代の経済環境において、10年なんて悠長なことは言っていられないでしょうから、3年くらいで回収し、そこから東京オリンピックに向けて大きく利益を出していく、くらいのつもりでいるのではないでしょうか。

ただ、DLEは売上20億円、利益2億円の企業。大きな投資であることは間違いありません。

TGCは、既に世界的にも認知度の高いイベントでありながら、これまでの運営では、マネタイズがあまりうまく行かなかったという噂を聞いたことがあります。

コンテンツの使い方を熟知したDLEが、この商標をどのように使っていくのか。今後がとても楽しみです。

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『平林亮子の晴れ時々株主総会』vol.31(2015年10月5日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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ベンチャー企業のコンサルティングを行うかたわら、講演活動やマスコミなどでも活躍。毎月どこかの上場企業の株主総会に個人株主として参加中。

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