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ウクライナの挑発で全面戦争に誘導されるロシア。背後で笑う米国の思惑とは=高島康司

11月25日に発生した黒海近郊のアゾフ海におけるロシアとウクライナの衝突について解説する。下手をすると両国の全面戦争にまで発展する危険性を内包した事件だ。(『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』高島康司)

※本記事は有料メルマガ『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』2018年11月30日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

アゾフ海の紛争を画策したのは誰か?ロシアが世界の非難の的に…

アゾフ海におけるウクライナ海軍艦艇の拿捕

11月25日に発生した黒海近郊のアゾフ海におけるロシアとウクライナの衝突について解説したい。これは下手をすると、両国の全面戦争にまで発展する危険性を内包した事件だ。

日本でも報道はされているものの、さほど大きな扱いにはなっていないので、まずは事実から確認したい。

25日朝、ウクライナ海軍の小型砲艦「ベルジャンスク」と「ニコポル」、曳航艇「ヤナ・カパ」は、黒海のオデッサ港からアゾフ海のマリウポリに向かっており、アゾフ海の入り口にあるケルチ海峡を航行するところだった。

アゾフ海はロシアが2014年3月に併合したクリミア、ロシアと敵対関係のウクライナ、そして東部ウクライナの独立派を支援しているロシアの3つの地域に挟まれた海域である。ロシアはアゾフ海が自国の排他的な海域であることを強く主張し、ロシアによるクリミア併合を認めないウクライナも同様の主張を行っている。

ケルチ海峡には、ロシアとクリミアを陸路でつなぐためにロシアが建設した大橋がある。アゾフ海が自国の領海であることを主張するロシアは、この大橋にタンカーを停留させ、ケルチ海峡を封鎖していた。

ウクライナ海軍の艦艇はこの封鎖を突破しようとして、ロシア連邦保安局(FSB)の監視船に体当たりしたが、逆に監視船から発砲され、3隻が拿捕された。ウクライナ海軍は、ロシア側が曳航艇に体当たりし、艦艇の進行を阻止しようとしたと説明している。このとき、ウクライナの発表では6名の乗組員が負傷したとされている。ロシアの発表では、負傷者は3名だったという。

ロシア批判の大合唱と紛争のエスカレート

一見するとこれは、比較的に些細な事件で、ロシアとウクライナの交渉で早期に解決するように見えるが、事態は深刻である。

アメリカを中心とした欧米諸国による御定まりの激しいロシア非難の大合唱になっている。3隻のウクライナ艦艇への攻撃と拿捕は、海軍艦艇であっても領有権が主張されている海域の自由な航行権を認めている国際法にロシアは違反したとして、ロシアを厳しく非難した。EUの主要メディアも同じ論調の報道である。

そうしたなか、アメリカの要請で国連安全保障理事会が開催されたが、ロシアとウクライナの相互の批判で終わった。その席上、アメリカのニッキー・ヘイリー国連大使は演説し、ロシアとの関係改善は不可能であるとした。これはホワイトハウスの見解を反映しているという。

ウクライナの戒厳令発令と全面戦争の可能性

そうしたなか、ウクライナのポロシェンコ大統領は軍と情報機関の権限を最大限強化することを内容とした戒厳令を発令した。有効期間は30日だ。ポロシェンコ大統領によると、ロシア軍が地上戦を準備しているための対応だとしている。

さらにポロシェンコ大統領は、ウクライナのテレビとのインタビューで、ウクライナ国境に接するロシア軍の基地では戦車部隊などの大規模な増強が見られるので、ロシアとの全面戦争が迫っているとの見方を明らかにした。

今回のケルチ海峡の衝突が、規模の大きい戦争の引き金になるということだ。

Next: アメリカとウクライナによる誘導か。ロシアが世界中の非難の的に…

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