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伊藤忠はなぜデサントを敵対的TOBするのか?発表IRから読み取る、その理由とは

<懸念事項>

1)中期経営計画(Compass 2018)の目標未達と韓国事業への過度な依存

2)コーポレート・ガバナンス体制の脆弱性

3)現経営陣の社員軽視の可能性

・伊藤忠は、2018年11月中旬頃、代表取締役社長である石本雅敏氏(「石本氏」)から、特定の投資ファンド(「本件ファンド」)との間で対象者の非公開化(「本件非公開化」)について協議をしている旨の連絡を受けた

・伊藤忠は、本件ファンドから本件非公開化の内容に関する説明を受けたが、その内容は、本件ファンド傘下の事業体が多額の資金を外部から借り入れた上で本件非公開化を実行し、本件非公開化後に当該事業体と対象者の合併等を行うことで、最終的に対象者が多額の債務を負担することになるスキームであり、現在優良な上場会社の社員という立場にある社員の皆様が、本件非公開化により、財務体質が極めて不安定な非公開会社の社員の地位に置かれることになる内容だった

・伊藤忠商事は、優秀な社員の皆様の存在が対象者の企業価値向上の源泉であると判断しているところ、本件非公開化は、社員の皆様の士気を大幅に低下させることにつながり、ひいては、対象者の企業価値が大幅に低下することになると判断したため、本件非公開化に反対した。本件非公開化は、石本氏を含めた現経営陣による経営の継続を前提としたものであり、伊藤忠としては、本件非公開化は現経営陣の保身を優先し、社員の皆様を軽視している可能性のあるスキームと考えている

・なお、伊藤忠は、2019/1/30に、本件ファンドに対して、正式に本件非公開化に反対する旨を通知している

TOBの概要

 出資比率:現在約30%(筆頭株主) ⇒ TOB後40%(721万株取得)
 TOB価格:2,800円/株(1/30終値1,871円の49.65%のプレミアム)
 取得総額:約200億円
 取得期間:1月31日~3月14日(30営業日)

株価終値推移

 1/30 1,871円、1/31 2,271円(ストップ高比例配分) 

<感想>

・本件は、伊藤忠によるデサント株式の敵対的TOB(出資比率40%まで)。
デサント側の相談なしのMBOに対して、伊藤忠の堪忍袋の緒が切れたTOBであると言える。
・今後のデサント側の出方を注目して行きたい。

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元証券マンが「あれっ」と思ったこと』(2019年2月1日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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