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またも基幹統計で不正発覚、政府への忖度は「サンプリングの誤差」を突いた官僚の犯罪だ=吉田繁治

賃金統計ほか我が国の基幹統計の半数近い23統計で誤りが発覚して問題になっていますが、総務省は2月1日、所管する「小売物価統計」で新たに不正調査があったと発表しました。これらが意図的であれば、アベノミクスへの忖度であり、官僚の犯罪です。(『ビジネス知識源プレミアム』吉田繁治)

※本記事は有料メルマガ『ビジネス知識源プレミアム』2019年1月30日号の一部抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

官僚が日本をダメにする?厚労省ほか、不要な政府機関は多数ある

次々と発覚する基幹統計ミス

賃金統計をはじめとする、わが国の基幹統計の40%にあたる22で誤りがあったことが明らかになり、会期が始まった国会では政府が追及されています(編注:その後の追加調査で23統計にミスがあったと公表されていましたが、2月1日、総務省が新たに「小売物価統計」でも不正があったことを発表しています)。

行政の政策は、国家の統計に基づくものです。誤りが意図したものなら、官僚の犯罪です。

矢面の厚労省には「軽く済ませよう」という意図が見えます。しかし事実に基づかねばならない行政の統計不正と官僚の仕事ぶりは、見逃してはならないものでしょう。

「サンプリングの誤差」を使った官僚の犯罪か

40%の経済統計の数字を高く見せる誤りが、諸官庁で、同時に発生する確率は低い。証明はされなくても、サンプリングなどにおいて偽装があったことになるでしょう。

目的は、アベノミクスの成果への「忖度(そんたく)」でしょう。

GDPの統計においても、推計値の発表前には政府自民党の幹事長に対して、内閣府の幹部から内々の報告がある習慣であり、そのとき「鉛筆舐め」が行われていたのは、広く知られています。国民所得でもあるGDPの上昇率が高くなると、政権の支持が上がるからです。経済統計には、政治性が混じっています。

あらゆる統計には、標本を抽出するサンプリングにともなう誤差があります。サンプリング法では、ランダム抽出したデータから、母集団(全体)を推計します。そのとき推計の誤差が出るのです。

(注:政府統計で5300万世帯の全数が調査され、誤差がないのは、5年に1度の国勢調査だけです。調査員1人が50から100世帯を受け持つと、費用は、1回で650億円もかかるという。調査員の費用が大きいため、2010年からは、調査員に手渡しするか、郵送に変わっています。)

その誤差は、「{(回答比率 ×(1 – 回答比率)} ÷ サンプル数」の結果の平方根をとって2倍したのものです。

サンプルのYes・Noの比率が50%付近のときが、母集団(全体)との誤差は、もっとも大きくなります。

具体例を挙げて、その誤差がどれほどのものかを見てみましょう。

<事例>

ある商品に満足すると答えた人が50%の場合、サンプル数が500なら、母集団の満足度は、「50%±4.5%=45.5%〜54.5%」と推計されます(注:サンプル数が500の4倍の、2000のときの誤差は、その約半分の2.2%に縮小します。3000なら1.8%です)。

<サンプル数と誤差>

サンプル数500のときの統計結果には、母集団の全数調査とは、最大9ポイントの誤差の範囲が出ます。これが、統計の科学的な知見です。

厚労省が行っていた、東京都の、500人以上の会社の賃金統計では、全数調査するという規定があるのに、任意に(おそらくは選択して)1/3に絞っていたのが事実とすれば、このサンプリング誤差を利用したものになるでしょう。

英国の首相ディズレリーが言った、「世の中の嘘は3つある。嘘、大嘘、そして(サンプリングの)統計だ」ということになってしまっています。

今回発覚したことは、幹部官僚が、内閣からの高い人事評価を求めたことが原因である、みみっちい奸計(かんけい)に属することでしょう。

民間会社の賃金の上昇率が低く出たとすれば、何らかの「幹部による修正」が行われたはずだからです。そういった仕事は、「自分の妻や子どもには話せない」レベルの、醜悪なものです。

根源は、カルロス・ゴーンの報酬の、有価証券報告書への過小記載と同じ構造のものです。官僚に、同じ心理が忍び寄っているのでしょう。

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