fbpx

強固な反日は2022年まで続く…独善主義でルール無視、韓国「硬直化経済」に大きな落し穴=勝又壽良

身勝手な理想主義

韓国は、道徳主義を標榜しています。

慰安婦問題で、徹底的に日本を批判する上で、道徳主義は最高の「攻撃武器」になっています。韓国の道徳主義は、自らが教養を高め修練を積んで、他人に寛容になるという意味ではありません。相手を攻撃する手段に使っているのです。

前記の裁判長は、朴槿惠・前大統領の裁判で有罪判決を下しました。この時、「共に民主党」は素晴らしい判決であると裁判長を激賞しました。ところが、自分が不利になると「弾劾だ」と騒ぎ立てる。韓国の道徳主義とは、この程度のものです。

この道徳主義は、身内に優しく外部に冷淡という特性を持っています。

韓国経済を語るとき、必ず出てくるのが最低賃金の大幅引上げです。経済の実態を無視し、去年と今年で約30%になる最賃引き上げに耐えられる中小・零細企業は限られます。

それにも関わらず、大幅引上げに踏み切った背景は、文政権の支持母体が労働組合と市民団体であるからです。彼ら仲間の要求を満たすことが、韓国流道徳主義なのでしょう。

その結果、多くの国民が職を失ってもわれ関せず、なのです。前記の支持母体は、選挙運動になると大車輪で活動してくれる大事な味方なのです。

多くの経済界の人々が、文大統領による1月10日の新年記者会見を見て、次のような結論を下しました。「新年の経済政策基調がこれまでと大きく変わるとは思えない」というものでした。今回の新年の挨拶で、文大統領は現政権の経済路線のトーレードマークである「所得主導成長」と、所得主導成長を支える核心政策である「最低賃金引き上げ」はそれぞれ1回ずつ言及に抑えました。

その代わり、経済(35回)・成長(29回)・革新(21回)などの単語が踊りました。だが、演説の最後で、「『革新的包容国家』を成し遂げる」と締め括ったのです。これによって、最低賃金の大幅引上げの目的である、分配政策重視の所得主導成長=包容成長にこだわっていることが分りました。これを実現するためには、失業者を増やし経済成長率を低下させても構わない。「革新的包容国家」のための「必要コスト」という認識と思われます。

文大統領は、「一度も経験したことのない国をつくりたい」とも言っています。文氏にとってそれは「正しいこと」であり、従って「変えられないもの」だという位置づけのようです。

「一度も経験したことのない国…」とは結局、自分たちはこれまでとは全く違う世の中をつくりたい、という意味のようです。韓国の識者には、革命をやりたいという意味に受け取られています。

信念過剰で現実見ず

文大統領が金科玉条とする「革新的包容国家」は、労働者が高い賃金を得て生活できる理想図を描いています。

これを実現するには、高い経済成長率を実現し、公平な分配政策を行なうことです。文氏には、前段の高い経済成長率の概念が消えており、後段の高い分配率だけが頭にある、偏った理想図に囚われています。とうてい実現不可能な代物です。

文大統領が、この「革新的包容国家」にこだわるところに、韓国式の「道徳主義」が顔を出しています。自分の描く夢は絶対的に正しいものである。反対する者は「不道徳者」であるという位置づけと思われます。

だから、最低賃金の大幅引上げが、経済的混乱をもたらしても、それは過渡的な現象である。必ず軌道に乗って成功すると確信しているのでしょう。

優れた政治家の条件は、自らの理想と客観的な現実のギャップを調和する能力が必要とされています。すなわち、政治家としてのバランス感覚です。文大統領にはこれが著しく欠けているのです。政治の理想は信念倫理、現実に対する態度は責任倫理と呼ばれています。

文氏は、信念倫理>責任倫理が目立ち過ぎます。理想型は、信念倫理=責任倫理です。

信念倫理=責任倫理という政治家は、まれな存在なのでしょう。韓国特有の「道徳主義」は、自己反省を伴わず、ひたすら相手を罵倒する手段に堕しています。日韓関係では、こういう道徳主義を頻繁に聞かされます。その度に日本は、嫌悪感を覚えるだけです。韓国も、こういう点に気付く時期です。

Next: さらなる賃上げも?消費刺激論に乗ると、韓国経済は取り返しの付かない事態に…

1 2 3 4
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー