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世界はもう日本を信じない。役人のせいにできない安倍首相「嘘データ」での成果アピール=今市太郎

「政府統計の不正」は役人がやらかした大問題ですが、金融市場から見てさらに問題なのは、安倍首相がGDP増加をアベノミクスの成果として強調してきた点です。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)

※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2019年2月6日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。

本当は伸びていないGDP、今までの成果アピールをどうするのか…

偽りのGDP増加を「アベノミクスの成果」と強調してきたが…

厚生労働省の「勤労統計の不正」問題は、役人がやらかした大問題ということができます。

しかし安倍政権は、本来被害者のような立場でありながらも、当該役人を国会に呼び出して詰問するということを拒絶するなど、非常に疑惑の残る動きを見せています。

さらに金融市場からの視点で見た時に、それよりもさらに大きな問題になっているのが、GDPの増加に対して、安倍首相が昨年の自民党総裁選などでしきりにその増加をアベノミクスの成果として強調してきた点です。

GDPの算出基準は、2016年に大幅に算出方法改訂

GDPの算出方法は、国際基準に準拠するために研究開発費などの項目がその算出基準に加えられたことから、2015年度だけで31.6兆円ほど水増しになっています。

今や成熟化した先進国はどこもGDPが伸び悩むことから、自国を実態以上に大きく見せたい先進国は手練手管で算定基準を変えて、その数字を大きく見せるということは英国やイタリアなどでは積極的に行われていることです。

ですから、日本だけがとりたてておかしいと言われるものではありませんし、算定基準が変更になったことは既に公表されているわけですから、これが改ざんやねつ造であるとは言えない状況です。

しかし、この話での最大の問題点は、算定基準を変えて増えた部分を、まるで安倍首相がアベノミクスの成果であるかのように国の内外に説明してきていること。

そして今、安倍政権の努力で増加した部分などほとんどない点が露見してしまったことです。

名目GDPの増加はアベノミクスの成果とはまったく無関係

2015年9月の無投票で総裁に再選された時、安倍首相は2020年頃までに、当時500兆円だった名目GDPを過去最大の600兆円にまで拡大することに意欲を示しています。

5年で100兆円の名目GDPを増やすというのは、伸びの少なくなっている先進国の中ではある意味画期的なチャレンジと言えます。

しかし、実は蓋を開いてみれば、別に何もしなくても2015年に既に532兆2千億円に上昇するという奇妙な光景を目の当たりにすることになるのです。

とくに研究開発費など国際投資の推計方法変更以外にも、建設投資の推計方法変更などでやたらとGDPを大きくしようとする動きがあったことは否めません。

ですので、これがすべて役人による嘘であるとは言いませんが、こうした算定方法の改訂作業をおこなったから数字が大きくなっただけで、特段、アベノミクスによる経済成長の成果とはなんら関係ないことがあからさまになってきているわけです。

Next: 実はまったく伸びていない名目GDP。今までの成果アピールはどうするのか…

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