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世界はもう日本を信じない。役人のせいにできない安倍首相「嘘データ」での成果アピール=今市太郎

旧算定基準で見るとまったく伸びていない名目GDP

2014年までの旧基準で算定すると、1997年度に523兆円の名目GDPをつけたのが最高で、依然と
して日本のGDPはここ20年以上、500兆円程度をさまよい続けており、アベノミクスが始まった6年前と比べても大して成長などしていないことが明確に理解できます。

2916年以降は旧算定基準による数値を政府は一切公表しなくなっていますから、一体どれだけが純粋な政権努力による増分なのかは、まったくわからないというのが実情。

とにかく増加した分をすべてアベノミクスの成果と説明するのは単なる印象操作に過ぎず、まったく看過できない状況です。

この部分の安倍首相の説明は、さすがに役人のせいにはできない、ご本人が主体的についた嘘と言わざるを得ません。

金融市場では大問題

たしかに、GDPの数字が闇雲に増えたことをアベノミクスの成果としたのは首相の虚偽説明ではあるが、ほかには実害はないのでは?と思われる方も多いことでしょう。

しかし金融市場で考えてみても、こうした不可解な水増しを正確に説明し、従来の算定基準ベースの数字を引き続き開示してもらわないと、過去のデータとの連続した比較分析ができないことになってしまうという、かなり大きな問題となります。

たとえばバフェット指数ですが、これはご存じのようにウォーレン・バフェットが株価の割安・割高判断を下すために利用する指標で、「株式市場の時価総額 ÷ その国のGDP × 100」がその数値になります。

足元の日経平均が2万1,000円にのせられずに右往左往している株価状況を、国が公表している名目GDPで計算してみますと、日本版バフェット指数は112程度になります。

しかし、これを旧算定値ベースで補正すると、50兆円程度が減額されてしまいますので、足元のバフェット指数でも125近くまで跳ね上がることになるのです。

直近では日経平均が27年ぶりで2万4,000円を超えた昨年10月段階の日本版バフェット指数は127にまで跳ね上がりましたが、これを旧算定数値ベースに補正しますと、さらに141にまで上昇することになってしまいます。

これを過去の数値と比較しますと、なんと1989年バブルの絶頂期国内日経平均が3万8,900円をつけたころの日本版バフェット指数142とほぼ同じレベルの高さになってしまい、足元を旧名目GDPで見た場合には、日経平均2万4,000円台というのは、もはや国内株は高過ぎてとてもではないですが買い向かえる水準ではないことがわかります。

国内のSell sideのアナリストは、架空の想定EPSとPERの掛け合わせで3万円以上の日経平均も夢ではないといった説明をやたらとしてくるわけですが、株式市場の時価総額と本当は500兆円アラウンドをさまよい続ける国内の旧算定値のGDPから勘案すると、日本株の天井は限られており、現状の株価水準でも買い向かえる水準ではないことが確認できるのです。

Next: アベノミクスの成果は人工値付けの株価だけだった…

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