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大阪人はなぜ「維新」に惹かれるか~橋下徹の東京コンプレックス戦略=藤井聡

次のファンタジーは、東京を含む全国をターゲットに「開発」される

以上はあくまでも、「橋下氏がブラック・デモクラシー=全体主義におけるポピュリストのデマゴギストである」という仮説に基づいて申し述べた仮説的論説に過ぎませんが、こう考えれば、現在の世論状況、特に東京と大阪の世論状況の大きな格差が論理整合的に説明できることは、十分にご理解いただけるものと思います。

では、もしもこの仮説が正しいとしたら…これは、東京を含む全国の人々にとっても、今回の大阪維新現象は、極めて重大な意味を持つことになる、という結論が導き出されます。

今、(仮説的)「ポピュリストのデマゴギストである橋下氏」は大阪の世論をターゲットにして「大阪都構想」「おおさか維新の会」というファンタジーを「開発」し、提示しているわけですが、一旦、ダブル選挙が終われば、(仮説的)「ポピュリストのデマゴギストである橋下氏」は今度は、全国の人々、とりわけ最も大量に存在する東京の人々をターゲットにした「ファンタジー」を開発し、それに基づいたプロパガンダを徹底的に展開することになるはずです。

そうなったとき、東京を含む全国の人々はコロリと「騙される」ことになる見込みは濃厚にあるのです。

瞬く間に全国的人気を奪う可能性も

そもそも、2012年の12月の世論調査では、「維新」勢力は当時の政権与党であった民主党を抜き去って、自民党に次ぐ第2の支持率を獲得していたではないですか!

しかも、今年の5月の住民投票で都構想が否決された日の夜の記者会見では、(仮説的)「ポピュリストのデマゴギストである橋下氏」は、「さわやかさ」を超絶に演出して見せ、その演出に沿って多くの論者が彼を「さわやか」と言い「潔い」と称し、極めて高い評価を得ていたのではないですか!

つまりもしも橋下氏が、TVで人気タレントを演じていた時の才能を遺憾なく発揮しつつ(政策の合理性を度外視しつつ)、「ポピュリストのデマゴギスト」として、東京世論狙い、全国世論狙いの政策イメージを様々に開発し、世論に提示し続ければ、瞬く間に全国的人気を奪っていく可能性は十二分に考えられるのです。

繰り返しますが、「ポピュリストのデマゴギスト」(=人気を得るためなら何でもするウソツキ)は、政策の合理性を全て度外視し、ウソでも詭弁でもデマでも何でもいいので、とにかく「お茶の間で人気」がでるファンタジーを開発し、世論に提示し、人気を獲得していこうとするのです。

そうであるのなら、いま、大阪で起こっている維新現象は、近い将来、必ず、東京で生ずることとなるであろう――ということは火を見るよりも明らかなのです。

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