成長実現ケース:経済財政諮問会議提出
内閣府が作っている、『中長期の経済財政に関する試算』は、政府の財政の方針を決める根幹になるものです。この内容が、基礎数値においてゆがんでいます。厚労省の賃金統計どころではない。
楽観的シナリオでは名目成長を2019年2.4%、20年2.9%、21年2.8%、22年3.0%、23年以降は3.4%としています。まずこれに問題があります。ひどいのは、長期金利です。
<これから先10年の長期金利>
2021年までは0.1%、22年0.4%、23年0.9%、24年1.4%、25年2.1%、26年2.6%、27年3.1%、28年3.4%としています。
これは今後、国債価格が上がることはなく、下がる一方ということを政府が表明したことと同じです。
2024年ころから、政府シナリオの金利なら財政破産になっていくということも意味しますが、結論はそうなっていいません。
加えて穏やかな金利の上昇は、長期金利を政府・日銀がコントロールすることを示しています。長期金利のコンロールとは、金融機関の国債の市場での売買に政府が介入することです。どんな方法でそれを行うのでしょう。
<金利が下がっていた時期は、国債価格は上がっていた>
日銀の政策短期金利が下がり長期国債の金利も下がって、国債価格が上がっていた時期(2016年8月まで)は、政府は金融機関に「(利益が出る)国債を買ってくれ」と言えたでしょう。
しかし金利上昇を政府が想定し、国債価格は下がることを予定しているときに「(損をするが)国債を買ってくれ」と、どんな手段で要請できるのでしょうか。
<金利が上がる時期になると、国債価格のコントロールができなくなる>
市場の実勢では、政府シナリオに沿って「金利が上がり国債価格は下がる」という市場の予想になると、
・売りが増えて買いは減り
・国債価格は下がって
・金利は短い期間で、一層上昇
します。
すぐに、3%くらいには上がり、3%に上がると7%までは上がる期間は短いのです。誰でも、損の確定はイヤだからです。株価と同じですが、国債価格も下がるときは急速、上がるときはゆっくりです。下がるときの売りは、損の恐怖に駆られた、一斉の売りになるからです。
銀行の国債マネジャーは、益出しができなくなった保有国国債に対して恐怖心に駆られているでしょう。個人のマネーではなく銀行のマネーですが、担当の恐怖心は個人のマネー以上のものです。自殺者すら想定できます。(注)統計偽装の厚労省では、自殺防止のため、窓の鉄枠を強化しています。
低い経済成長率のベースラインシナリオ
名目成長は、成長ケースより低く、2019年2.4%、20年2.3%、21年1.6%、22年1.7%、23年以降は1.7~1.5%とされています。
対応する長期金利は、2021年までは0.1%、22年0.2%、23年0.6%、24年1.2%、25年1.6%、26年1.8%、27年1.9%、28年2.0%とされています――
日銀は、異次元緩和を、いつまで続けることができるか
2%のインフレという目的を失った日銀の、国債買いの継続
金融機関の国債売りが減った理由
価格が上がらないことが確定した国債
日銀はいつまで、異次元緩和を続けことができるか
2022年が山場になる
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『ビジネス知識源プレミアム:1ヶ月ビジネス書5冊を超える情報価値をe-Mailで』(2019年2月13日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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