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銘柄探しの「軸」を持っていますか?高勝率のバリュー銘柄を見つける3つのポイント=栫井駿介

2.長期的な成長が期待できる

これは必ずしもそこまで割安ではなくても、長期・安定した成長が期待できる銘柄です。バフェットの言う「永久保有銘柄」に近いものと言えます。

鍵となるのは、ビジネスの裾野が広く、そこで「経済の堀」を有していることです。独自の強みは大きな利益を生み、その利益を広大な得意分野に再投資することで、高い利益率を維持したまま規模の拡大が可能となります。

また、単に現時点でのシェアが高いだけではなく、サービスが時代の大きな流れに乗っていることも大きなポイントです。大切なのは現在ではなく未来です。

例えば、マイクロソフト<MSFT>は、かつてWindows中心のビジネスモデルでしたが、次第にクラウドコンピューティングに舵を切りました。これがスマートフォンの普及や携帯回線の高速化、AIの活性化などにより一気に浸透したのです。

今ではAmazonとマイクロソフトが世界トップを争います。このビジネスモデルは、顧客が一度導入すると切り替えコストが高いため、先行者が優位となり、下位との差はどんどん拡がるのです。

マイクロソフトは、これまでに培ったWindowsの安心感があります。既存ソフトとの融合も行いやすいでしょう。まさに経済の堀と時代の流れが一致したビジネスです。

PERは23.8倍と「適温」の水準です。しかし、それでも買いたいほど良い銘柄であり、相場の調整に期待したいところです。

マイクロソフト<MSFT>週足(SBI証券提供)

マイクロソフト<MSFT>週足(SBI証券提供)

3.今は不調だが、回復の見込みがある

今が不調の銘柄に関しては、PERはあまり意味を持ちません。利益が小さければPERは高くなりますし、赤字であればそもそも算出することができません。

このような銘柄は、なぜ赤字になっているのか、そしてそれを跳ね返す力があるのかを見極めます。回復が見込めるなら、業績が回復した場合の利益と、その場合の現在の株価におけるPERを計算するのです。

これを行うことで、「裏」のPERが非常に小さい激安株が見つかることがあります。しかも、相場の調整局面ではますます下落し、割安感が高まりやすいものです。

昨年までは景気が良かったので、現段階で業績悪化銘柄を見つけるのは難しいのですが、強いて挙げるとすればみずほフィナンシャルグループ<8411>でしょう。

システムの減損などにより6,800億円の特別損失を発表し、今期予想PERは55.7倍にまで急騰しています。一方で、溜まっていた膿を出し切ったと見ることもでき、既に人員削減などコスト削減の方向性も示しています。

過去5年間平均EPSを使用したPERは6.9倍とかなりの割安感を示しています。金利の動向こそわかりませんが、コスト削減効果には期待が持てます。配当利回りが4.3%に及ぶことも安心材料と言えるでしょう。

みずほフィナンシャルグループ<8411>週足(SBI証券提供)

みずほフィナンシャルグループ<8411>週足(SBI証券提供)

銘柄を探す時は、何らかの軸を持つことで全く見え方が違ってきます。何を基準に割安なのか、そしてどうなったら株価が伸びるのかといった「仮説」を適用することで、投資のパフォーマンスは見違えるほど高まるでしょう。

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バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』(2019年3月16日号)より
※太字はMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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