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米中会談、結果は習近平の寿命が少し伸びただけ。選挙モードに入ったトランプは甘くない=斎藤満

アメリカの中国に対する追加関税は当面保留となり、最悪の事態は回避された「米中会談」。実態は安堵できるものではなく、中国の首がしまっていく状況です。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)

※本記事は有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2019年7月1日の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

中国の人権問題が火を吹く?今後も米中「新冷戦」が細く長く続く

時間稼ぎに成功した中国、根本解決にはほど遠い

G20サミット以上に海外が注目した29日の米中首脳会談。ポジティブ・サプライズはなかった(米国メディア)ものの、一部に警戒された3000億ドルの中国製品に対する追加関税は「当面保留」となりました。

この裏には、予定外の習近平国家主席のG20演説があり、ここで中国が輸入拡大知財権侵害の阻止などを打ち出したことがあります。

これで米中間では、一旦停止していた貿易交渉が再開することになり、その交渉が進む間は、とりあえず追加関税は保留される、ということになり、中国は時間を稼ぐことができました

もっとも、中国にとって、現在の2600億ドル余りの製品に25%の関税を掛けられていること自体が経済には大きな負担になっていて、これを嫌気してグローバル企業は中国から脱出しています。

それだけに、中国としてはこれまでかけられた関税の取りやめ、ファーウェイや関連企業への取引制限などの制裁を解除してほしいところですが、これについてはかないませんでした。ファーウェイについても、これまで個別に許された取引については、これからも容認されることを確認しましたが、制裁自体は続いています

一旦は市場もやれやれの安心買いが入りそうですが、今後の展開を見るうえでのキーワードは、トランプ大統領の「選挙」モードと「冷戦」になります。

トランプ大統領の選挙意識

トランプ大統領はすでに来年の大統領選挙に出馬することを正式に表明しました。

日米間については日本の参院選までは安倍総理に協力はしても、そのあとは自分の選挙に協力せよ、となっているようです。それ以外については、すでに次の選挙を意識した行動に出ています。

その1つが韓国訪問に際して、板門店で北朝鮮の金委員長と「電撃面会」を行ったことで、直接間接、大統領選挙へのプラス効果を狙っています。

北朝鮮にとっては制裁解除が何より優先され、それを餌に、米国が北朝鮮の非核化に向けてなにがしかの成果を得られれば、トランプ大統領にも選挙戦への大きな弾みになります。G20で大阪を訪問する前から、ホワイトハウスは親書の交換、事前調整などで密かに準備を進めていました。

同様に中国との通商協議においても、大統領選挙を抜きには進められなくなりました。トランプ陣営はすでに中国製品の残り3000億ドル分への関税賦課を準備していました。そして各界から意見を求めてもいました。そして企業や個人の声として、中国製品への関税賦課でコスト高になる点を批判する声が多く、ある程度その声を受け入れざるを得なくなりました。

そこで中国の出方いかんでは関税を25%ではなく、10%で課す準備をしていました。これも選挙を意識してのものです。もっとも、その直前に中国は習近平国家主席がG20で予定外の演説を行い、米国を多分に意識した「対応姿勢」を示したことから、米中間の通商協議再開を確認し、その間は追加関税は保留することになりました。

ファーウェイ並びにその関連企業群への制裁も、継続することとしましたが、あえてこれまでも認められた取引については、今後も引き続き可能であることを強調、融和のムードを演出しました。実態的にはこれまでと変わっていないのですが。

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