日本依存の韓国半導体産業
以上で今回、日本が韓国を「ホワイト国」から除外する理由と、その背景について説明しました。
そこで、韓国にとって前記の3資材の重要性を見ておきます。『朝鮮日報(7月3日付)』から一部引用しました。
韓国は世界第1位の半導体製造国ですが、韓国にある半導体製造装置の国産化率は18.2%、素材の国産化率は50.3%に過ぎません(2017年基準)。中でも、半導体素材分野における日本への依存度は50%近いものです。
韓国大統領府は7月2日、日本政府による「経済報復」のような事態を防ぐ案として、輸入先の多様化と国産化推進を挙げました。これを聞いた半導体業界は、「すぐに実現できる目標ではない」と難色を示しました。
日本が輸出規制を発表したレジストの場合、全世界で90%が日本企業の供給によります。サムスンやSKハイニックスが、世界最高水準の工程に使うレジストが作れる企業は、日本企業以外にないと言われています。韓国で国産化するには、とてつもない時間が必要なのです。
日本への依存度が最も高いのは、今回輸出規制されるレジストとフッ化ポリイミドです。この2素材の韓国における日本への依存度は90%を超えています。一部国産化に成功したとされるエッチングガス(フッ化水素)も、実は日本から原材料を持ち込んで合成・精製したものに過ぎません。
第二次世界大戦後、日本のノーベル科学賞の受賞者が、米国に次いで2位であることを思い出してください。化学物質を扱う素材開発は、長年のノウハウに基づいています。日本は、100年以上も精密化学の素材産業分野で世界最高水準にあるのです。
こういう日本企業を相手にして、韓国大統領府は暢気なものです。「日本以外から購入先を見つけろ」と尻を叩かれても不可能です。ましてや、日本に追いつくことなど、夢のまた夢の話です。
こういう、日本と紛争を構える韓国大統領府の目が曇っていると言うほかありません。
韓国輸出入銀行海外経済研究所によると、2017年時点の世界半導体製造装置市場は米国(44.7%)と日本(28.2%)が握っており、韓国の占有率は3.6%にとどまっています。
現在、全世界の半導体製造装置10大企業の構成は、次のようになっています。
- 日本企業:5社
- 米国企業:3社
- オランダ企業:1社
- 韓国企業:1社
これをみてもわかる通り、日本の半導体製造装置企業は世界10大企業の半分を占めています。
こうして日本は、半導体製造装置と半導体製造化学品の両面で、世界市場を左右する力を持っていることがわかります。
日本を敵に回すと痛い目を見る
韓国側は、ここで大きな見誤りを犯したようです。日本が韓国企業を有力な得意先にしている以上、韓国への輸出規制を掛ければ日本自身も損害を被るはず。だから、輸出規制には出ないだろうと見てきたのです。
日本は、昨年10月の韓国大法院判決が出た直後から、「韓国報復策」を練っていたことがわかりました。日本政府は一度、韓国政府と厳しく対決して「思い知らせる」という側面もあるように思います。
これまでの日韓外交は、日本が韓国に主導権を握られ振り回されてきた歴史です。今回は、日本が「経済制裁」というテコを使って韓国を動かすのです。