「若者の貧困」を狙い撃ちにする戦争ビジネスの悲惨な実態
ノーベル経済学者、ミルトン・フリードマンは、国家の役割を警察と軍事に限定することを提唱し、彼の薫陶を受けた元国防長官ドナルド・ラムズフェルドは、戦争すら「民営化」できないものかと考えた。
そして、そのモデルケースの最たるものが先のイラク戦争であったのだ。
ケロッグ・ブラウン&ルート社(KBR社)は2005年時点で登録派遣社員数が6万人を超え、週に200~300人をイラク、アフガニスタンに派遣していた。
年収約700万円でこの会社と契約したある男性は、バグダットで40度近い炎天下の中、武器運搬のトラックの運転手として1年間従事した。
兵士たちは基地内にあるペットボトルの水を飲んでいたが、彼のような「民間派遣社員」は会社から現地の水を飲むように言われていた。バグダットの水は米兵が使用する劣化ウラン弾の影響で放射線に汚染されている可能性が高いにも関わらずだ。
彼は10ヶ月を超える頃から肺に鋭い痛みを覚えるようになる。その後下痢と嘔吐の症状が見られるようになった。そうしているうちに下痢に血が混じり、勤務中にめまいを感じるようになった。
帰国後、医師の診断は白血病であった。その後、彼は寝たきりとなり支払われた報酬も結局はアメリカ特有の高額医療費に消えてしまったのだ。
日本とも関わりが深いブラック・ウォーターUSA
KBR社はいわば兵站を中心とする企業だが、その一方で「ブラック・ウォーターUSA社」といった戦闘行為自体を請け負う民間企業も存在している。
いわゆる「傭兵」を派遣する企業なわけだが、ジュネーブ協定が定義する傭兵とは戦争のために「外国」から雇われている個人であって、社員は軍人ではなく民間人だからこの協定には該当しないと、ブラック・ウォーターUSA社は主張している。
しかも、戦場における「民間人」は戦死者数にはカウントされない。ゆえにブラック・ウォーターの傭兵には監視や法的拘束力が掛からなくなってしまう。
このことが 前述した現地民間人への不当な尋問や、無差別殺人への土壌を形成しているとの指摘もある。実はこのブラック・ウォーター社、日本においても少なからず関わりがある。