なぜ、東芝は潰れないのか?より本質的な理由を突き詰めてゆけば、東芝のような大企業はすべて“政治”と結びついているからである。よって、単なるコーポレート・ガバナンスの視点といった優等生的な見方をしていては、いつまでたっても本質を見ることができず、それを裁くこともできない。(『インターネット政党が日本を変える!』不破利晴)
「東芝が擁護され、小沢一郎は叩かれる」これは政治問題だ
東芝は不正会計ではなく詐欺を働いたのではなかったか
総額2248億円ともなれば、「不正会計処理問題」というよりも犯罪性の明白な「巨額粉飾決算事件」と言った方が相応しい。その東芝では、この事件で旧経営陣、そして会計監査法人の刑事告発が俎上に上っているという。
ただ、事件に絡んだ経営陣らは一様に「会社のために仕方なくやった」と発言しており、一部の報道では「個人的な利益を図ったものでも、意図的に会社に損害を与えることを画策したものでもなく、厳しい事業環境の中で行われたものであるから、そういった事情も考慮してしかるべき…」といった論調も見受けられる。
政治資金の些細な記載ミスで、あたかも重罪人のごとくメディアを始めとする世間のバッシングに晒され、政治の第一線から引きずり降ろされた小沢一郎などと比べると、とんでもなく破格で大甘な扱いと言わざるを得ない。
しかも、東芝の新旧の経営陣らは、これほどの大事件を起こしておきながら当事者意識がまるでなく、事件の最前線にいたとされる副社長や専務らはその後も「会社顧問」という肩書で東芝に居座り、驚いたことに決算修正の作業に従事していたというのだ。まさに“盗人に追い銭”を地でゆくような行為が堂々とまかり通る。これが「天下の東芝」の企業風土なのだろうか?
通常であれば、巨額の粉飾決算を引き起こしたような企業は「特設注意市場銘柄」として東証で扱われ、管理体制が改善されなければ上場廃止になるとされている。しかし、東芝が本当に東証を追い立てられることなど、それを信じる者はほとんど存在しない。「東芝のような企業を潰したり、上場廃止にするなどできるわけがない」と、皆がそう考えている。
その理由は日本の基幹企業(フラッグシップ・カンパニー)であるからに他ならないからなのだが、経営陣の全く反省に欠けた、無責任体質も理由の一つに上げられるだろう。見ているがいい、刑事事件の加害者として収監される者など、蓋を開ければ皆無だったという結末が待っているだろう。
なぜ、東芝は潰れないのか?
より本質的な理由を突き詰めてゆけば、東芝のような大企業はすべて“政治”と結びついているからである。よって、単なるコーポレート・ガバナンスの視点といった優等生的な見方をしていては、いつまでたっても本質を見ることができず、それを裁くこともできない。
東芝の粉飾決算事件とは「政治的問題」なのである。
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