LibWorkという熊本を地盤にした住宅会社は、マザーズ上場前は時価総額が30億円程度に甘んじていた。1,100円前後から一時は3,000円を超える水準に急騰した、その理由とは。(『億の近道』炎のファンドマネージャー)
小学生から証券会社に出入りし、株式投資に目覚める。大学入学資金を株式の利益で確保し、大学も証券論のゼミに入る。証券会社に入社後は一貫した調査畑で、アナリストとして活動。独立系の投資運用会社でのファンドマネージャーの経験も合わせ持つ。2002年同志社大学・証券アナリスト講座講師を務めたほか、株式漫画の監修や、ドラマ『風のガーデン』(脚本:倉本聰)の株式取引場面の監修を行う。
IRの上手下手で株価における企業の評価は違ってくる?
地方企業Lib Work株の人気の背景にあるもの
先週は熊本のある企業を訪問した。時価総額が60億円程度の新興市場に上場する企業だ。実はこの会社6月にQボードからマザーズに上場を果たしたばかりで、成長意欲旺盛な内需系企業。LibWorkという熊本を地盤にした住宅会社だが、マザーズ上場前は時価総額が30億円程度に甘んじていた。
マザーズ上場後も30億円台だったが今6月期の業績見通しを発表した途端に株価は急騰し、1,100円前後から一時は3,000円を超える水準に急騰。しかしながら、その後はややスピード調整し、現在は2,000円前後で推移している。
同社のマザーズ上場後のIR活動はアグレッシブだ。
Qボード時代に私は同社に訪問したが、それから面談を重ねること今回で6回程度だろうか、会うたびに印象が良くなっている。
成長意欲が旺盛な瀬口社長の話に耳を傾けると、マザーズに上場した後のここからの1年こそがより重要だとの認識だ。マザーズに上場しただけで留まることなく、東証1部を意識したビジネス展開を図ろうという意欲が感じられた。
同社のIR活動を社長とともに実践する執行役員となられた難家さんの存在も大きい。同社は8月9日の決算発表後の13日にラジオ日経の人気番組「相場の福の神」に生出演された。
実は同社の番組出演を促したのは私で、最初はもっと早い時期にどうかと打診していたのだが、選択された日時は6月決算の発表後だった。その内容が前の大幅増収増益に続き今期も大幅な増収増益見通しだったこともあり、人気を集め株価の急騰につながったものと推察される。
IR活動というと何か形式的な説明会がどうだとか言う方法論に陥りがちだが、実はそこにはIR担当者と私のようなアナリスト、更には実際にリスクマネーを投じてくれる投資家との触れ合いが大事なのだ。
成長しようという企業なら遠慮する必要はない。もっと触れ合って頂きIRの成果を高めて頂きたい。
実は同社への訪問だけではお金がもったいないと他社との面談アポをしようと試みたのだが、忙しいという理由や休暇を取るので駄目だという理由で断られてしまった。とても残念な結果だったがご縁がなかったとあきらめるしかないが、IRには不熱心な企業との印象を持たざるを得ない。これが現在の株価に反映されていると言っても良いだろう。
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『億の近道』(2019年9月9日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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