業績の足を引っ張るショッピング事業「起死回生策」
一方のヤフーにとっても、この買収は起死回生の策です。同社はこれまで出店料無料化などによりショッピング事業に力を入れてきたものの、利益は一向に上がらず業績の足を引っ張っていたのです。
ショッピング事業が軌道に乗れなかったのは、楽天とAmazonとの競争により、ヤフーが独自のポジションを打ち出せなかったからでしょう。結局大量のポイント付与によりコストばかりがかさむ状況となっていました。
そこへ、アパレルでは押しも押されぬ最大手のZOZOを取り込めれば起死回生となる可能性があります。ヤフーはここで勝負をかけたのです。
「前澤リスク」排除は成長を後押しするか?
一方のZOZOにとっても、悪い話ではなさそうです。
株式の直接的な売却要因は前澤氏の懐事情が大きいと見ていますが、経営的にも「前澤リスク」が大きくなっていました。過激な発言が「炎上」を招くだけでなく、ZOZOスーツの失敗や独自割引制度による出店企業離れを招いていました。
あくまで私見ですが、アパレルのネットショッピングはまだまだ黎明期で、その筆頭であるZOZOに求められるのは奇策ではなく、王道だと思います。しかし、前澤氏はその特徴的なキャラクターゆえに、普通のことでは満足できない部分があるのでしょう。
ここで日本のインターネット社会を牽引してきたヤフーに道を譲ることで、着実な成長に邁進できると考えます。