男を踏み台にして世の中を渡っていく
日本人と結婚して永住資格を手に入れる。その目的は何か。もちろん、カネだ。
彼女たちは「日本」で、大きく稼いで国に戻ることを望んでいる。その手段としての結婚であって、別に日本や日本の男が気に入っているわけではない。
自分の結婚相手が、気に入っているわけではない。結婚する男の容姿や年齢や性格など、まったく関係ない。言ってみれば、正真正銘の日本人でありさえすれば、相手など誰でもいいのである。
「偽装結婚」は、外国人を合法的にその国の人間にしてしまう手口のひとつだ。
偽装結婚はいくつかの種類がある。同性愛者がそれを世間に隠すために行うものもある。あるいは、犯罪者が自分の名称を変えてしまうために意図的に行うものもある。犯罪のための背乗り(はいのり)で行うものもある。
しかし、もっとも多い偽装結婚は、言うまでもなく、外国人が異国の滞在資格を得るためのものである。
どこの国でも、その国の人間と結婚した外国人には長期滞在許可や永住権を与える。それは結婚生活を送る上で、その国に長期滞在が許されていなかったら都合が悪いからだ。
それが悪用される。
よく「偽装結婚」と言うと、何か甘酸っぱい恋愛が絡むビジネスのような錯覚をする人もいるが、現実はそのようなものではない。
偽装結婚を決断し、実行する女性は、男を踏み台にして厳しい世の中を渡っていく。カネのためならば何でもする。危ない橋でも渡る。それくらいの性根の座った精神力を持っている。
愛や恋など、そこに入る隙間もない。カネの亡者になっているような女性も多い。
そこには一片の愛もない
彼女たちは愛ではなく、カネで動いている。
結婚もカネのために割り切るものであり、そこに一片の情緒も見出していない。場合によっては、結婚生活をしていると「見せかける」ためにセックスが介在するかもしれないが、しない場合も多い。
カネに対する渇望と利己的な欲望が渦巻いていて、実にしたたかであり、カネに対してのみ忠実である。
これだけ知られ渡った手口なのだから、今さら日本に在留したい外国人に偽装結婚を斡旋したところで、見破られるのは分かりきっている。古典的な手口というのはすでに研究し尽くされているのだから、勝負は最初からついているのだ。
日本でも当然、偽装結婚をする人間がいて、捜査されると見破られることが多い。にも関わらず、この偽装結婚の手口が「通る」ことが珍しくない。
不思議に思わないだろうか。調べられれば見破られるのに、それが通用することも多いとはいったいどういうことか。
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