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コロナ対策「財政赤字」はいずれ国民が背負う。政府に都合が良すぎるMMTの問題点=矢口新

コロナ対策で日本をはじめ各国の財政赤字は拡大している。MMT(現代貨幣理論)では問題にならないと説明するが、本当にそうだろうか。日本の財政赤字は、いずれ国民が埋めることになる。(『相場はあなたの夢をかなえる ?有料版?』矢口新)

※本記事は、矢口新氏のメルマガ『相場はあなたの夢をかなえる ?有料版?』2020年5月19日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。信済みバックナンバーもすぐ読めます。

プロフィール:矢口新(やぐちあらた)
1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。アストリー&ピアス(東京)、野村證券(東京・ニューヨーク)、ソロモン・ブラザーズ(東京)、スイス・ユニオン銀行(東京)、ノムラ・バンク・インターナショナル(ロンドン)にて為替・債券ディーラー、機関投資家セールスとして活躍。現役プロディーラー座右の書として支持され続けるベストセラー『実践・生き残りのディーリング』など著書多数。

コロナ対策で各国の「財政赤字」拡大へ

コロナウイルス対策で各国政府は未曾有の規模の財政支出を約束している。

一方で、ほとんどの国は財政赤字なので、そんな「空手形」に対して危惧する専門家は数多い。

ところが現代貨幣理論(MMT:Modern Monetary Theory)によれば、そんな危惧は杞憂に過ぎな
いという。

ちなみに杞憂とは、中国古代の杞の人が天が崩れ落ちてきはしないかと心配したという故事で、心配する必要のないことをあれこれ心配すること。取り越し苦労だとされている。

MMTの提唱者ランダル・レイは「政府の財政は、家計や企業のそれとは全くの別物だ」と主張している。

「主権を有する政府が、自らの通貨について支払い不能となることはあり得ない。自らの通貨による支払い期限が到来したら、政府は常にすべての支払いを行うことができるのである」。

なぜなら、「通貨発行権のある政府にデフォルトリスクはまったくない。通貨が作れる以上、政府支出に財源の制約はない。インフレが悪化しすぎないようにすることだけが制約である」。

つまり、インフレがなければ、財政赤字は問題にはならないというのだ。

財政赤字は問題にならない?

これは政府が、具体的には現政権が、何の制限もなしに資金をばら撒くことができると言うことだ。

コロナウイルス対策では世界の政権は専門家の提言を拠り所に政策を実行しているが、財政政策でもMMTを拠り所にしているのかもしれない。

政府には支払い不能となる「空手形」という概念がないのだから。

穿って見れば、そうした際限のない資金力を使ってMMTを唯一の正論に仕立て上げることも可能だろう。

Next: 疑問に思うのは、最近でもレバノンやアルゼンチンが債務の「支払い不能」――

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