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シングルマザーが急死、残された子の遺族年金はいくら?養育費がネックになることも=年金アドバイザーhiroki

実際、いくらもらえる? よくある事例の年金算出方法

家庭により様々ではありますが、今回はよくある養育費の問題を交えながら、年金給付を考えていきましょう。

昭和60年6月10日生まれの女性(今は35歳)「A美」を例とします。

20歳になる平成17年6月からは国民年金に加入することになったが、学校には通っておらずアルバイトをしていたものの保険料を支払える余裕はなく、平成20年3月までの34ヶ月間は全額免除にした(大学等には通っていなかったので普通の免除。平成21年3月以前の全額免除は将来の老齢基礎年金の3分の1に反映する)。

平成20年4月からは専門学校に入学し、平成22年3月までの24ヶ月間は学生納付特例免除を利用することになった(学生納付特例免除は将来の老齢基礎年金にはまったく反映しない)。

学生が免除を使う場合は通常の免除は使えず、必ず学生納付特例免除を使うことになる(障害年金2級受給者や生活保護受給者は法律上当然に免除になる法定免除というものがあるが、法定免除が使える人は学特免除ではなく法定免除を使える。法定免除は将来の老齢基礎年金に反映する)。

平成22年4月からは非正規雇用として就職するが、厚生年金には加入できずに国民年金保険料を払うことになった。

平成22年4月から平成26年9月までの54ヶ月間は、国民年金保険料をしっかり納めた。

ちゃんと保険料を納めて将来に備えようと思っていたなかで、過去に保険料を免除にしていたからその期間を埋めたかった。その場合は過去10年以内なら遡って保険料を追納することができるので、追納を利用した。

A美は過去の免除期間に対して、平成20年4月から平成22年3月までの24ヶ月間を追納した。平成17年6月から平成20年3月までの34ヶ月間は何もせず。

シングルマザーとして奮闘するA美に不幸が……

さて、平成26年10月にサラリーマンの男性と婚姻して扶養に入り、国民年金第三号被保険者となって国民年金保険料は個別に納める必要が無くなった。

平成28年7月13日に第一子が誕生したが、令和2年8月中に夫との価値観が合わずに離婚した。A美の国民年金第三号被保険者期間は平成26年10月から令和2年7月までの70ヶ月間。

離婚する時に夫から毎月3万円の養育費を子が20歳になるまで支払うことを公正証書に記載する。養育費とともにA美は令和2年8月から厚生年金に加入して働きながら、なんとかギリギリの生活を送っていた。

ところが令和4年12月2日にくも膜下出血で急死した。厚生年金期間は令和2年8月から死亡日の前月の令和4年11月までの28ヶ月間。なお、この間の平均給与(平均標準報酬額)は13万円とする。

A美の死亡時に生計維持されていた遺族は子(平成28年7月13日生まれ)のみだった。離婚している夫は配偶者にはならないから無視する。

元夫の養育費があると遺族年金は停止される?

子がひとり残されたため、親族である祖父母(A美の子から見て祖父母としています)とA美の姉でA美の子の面倒を見ようということになった。

祖父母がやや高齢になっていたので、姉がA美の子の未成年後見人として家庭裁判所に申し出た。

未成年後見人というのは未成年者の法定代理人であり、未成年者が成人するまで面倒を見たり財産を管理して、親の代わりのような人になる。親権者と概ね同じような権利がある。

さて、A美が厚生年金加入中に死亡したので、A美の子には遺族年金が支給されるのではないかと思われたので、A美の姉(以下、姉とします)は年金事務所に相談に行った。

A美の元夫からは養育費が支払われていることを言うと、「国民年金からの遺族基礎年金約65,000円は停止される」ということだった。もらえるのは遺族厚生年金のみになると。

Next: ちょっと先に年金額を算出しましょう。厚生年金からの遺族厚生年金は――

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