夏を失った経済損失は重大
日本航空やANAの4-6月期の収益は1,000億円を超える赤字となり、航空会社や観光関連業界の業績は大打撃を受けました。
この業界に近い自民党幹部が「Go To トラベル」を急いだ気持ちはわかりますが、感染拡大を放置する中では人も動けません。結局、最大市場の東京を外して実施しましたが、やはり観光需要面での効果は限定的となりました。
最大の稼ぎ時の夏休み需要を失うと、取り返しがつきません。来年の夏までどう生きながらえるのか、観光関連業界には大きな試練が待ち受けています。JALやANAも、4-6月だけでなく、夏休み需要を生かせないと、7-9月も厳しい結果となり、経営悪化が懸念されます。
飲食業についても、「経済再開」後もコロナ前の50%までしか客が戻らない状況で、このままでは経営が維持できないといいます。
夏休み需要の喪失は甚大で、V字回復どころか、企業倒産の増加が懸念されます。
「集団免疫」獲得を狙うのはリスキーか
感染拡大が長期化した1つの要因として、政府に「集団抗体(免疫)」を獲得するために、あえて静かに感染を拡大させる、という考えがあったといわれます。
米国や英国にこの考えがあり、日本もその影響を受けた可能性があります。しかし、米国ではこの抗体保有者が10%を超えたようですが、日本では少ないサンプルながら、抗体保有者は0.1%から0.2%にとどまっているとの結果が出ました。
集団抗体ができて感染拡大が止まるには50%以上が保有する必要があるといいますが、米国でもまだ何年かかかりそうで、日本では話になりません。
しかも、その抗体自体が短命との説があり、またウイルスが変異すれば、効かなくなります。それだけ集団抗体獲得を目指すやり方にはリスクが大きくなります。
そして今のような形で、つまり国民が不安を抱えながらコロナと共生する形では、飲食業にしても観光関連にしても、人が動けなければビジネスが成り立ちません。
その間、働けない人に所得を補填する政策を続ければ、国民の税金や将来世代からの借金でも回らなくなります。
結局は、国民の不安を解消して経済活動を再開できる形にするしかありません。