対策がないわけではない
その手がないでもありません。国民の不安を軽減するには2通りの方法があります。
1つは、コロナ対策として経済支援に使うお金を、まず医療分野に集中することです。米国政府は米国富士フイルムにワクチンの素材開発資金を支援する意向を示しましたが、日本でも独自のワクチン開発、抗ウイルス薬の開発に国を挙げて取り組むこと。そして重症患者を受け入れられる医療体制を整えることです。
もう1つは、ニューヨーク市が行ったことを日本でも進めることです。つまり、ニューヨーク市では、街のほとんどのクリニックでPCR検査を無料で行えるようにしていて、誰でも何回でも受けられます。その結果、陽性となった人は、隔離して治療にあたる一方で、陰性が確認された人は大手を振って歩けます。ほとんどのニューヨーカーがPCR検査を受けていれば、少なくとも自分の状況がわかり、不安はなくなります。
それでも、他の州や街からやってくる観光客やビジネスマンがいるので、すべての人を識別できませんが、検査で陰性が確認された人には、認定カードをつくり、首からぶら下げて歩けば、第三者からも「コロナフリー」の人間と分かります。
つまり、ニューヨーク市のように、国民全員にPCR検査を行い、白黒をはっきりさせることです。唾液での検査も可能というので、より簡単に検査が受けられるようになります。
手間暇かけていつ支給されるかわからない助成金の申請をするより、検査で自分や周りの人が感染していないことがわかり、しかも感染しても治療薬が作られ、病床が確保されるほうが、よほどコロナ対策としては効果が期待されます。しかも財政コストも小さくて済むはずです。
政治家は夏休みをとって次の選挙に備える前に、コロナ危機で不安を抱える国民に対してやることがあるはずです。
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『マンさんの経済あらかると』(2020年7月30日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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金融・為替市場で40年近いエコノミスト経歴を持つ著者が、日々経済問題と取り組んでいる方々のために、ホットな話題を「あらかると」の形でとりあげます。新聞やTVが取り上げない裏話にもご期待ください。