日本企業の少なからずは、今も技術力でトップに立っている。それなのに、諸外国のパクリ企業にやられているというのは、端的に言えばせっかくの技術がザルのように漏洩して止められない側面もあるからだ。(『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』)
※有料メルマガ『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』好評配信中!ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、主にアメリカ株式を中心に投資全般を扱ったブログ「フルインベスト」を運営している。
「ファーウェイを通じた情報流出は間違いない」
エリック・シュミット氏はアメリカのIT企業の最高峰であるグーグル社の元CEOとして知られているが、それ以前は米サン・マイクロシステムズの最高技術責任者だった。
サン・マイクロシステムズは現在のネットワーク社会の最先端をいく重要企業であったが、エリック・シュミットはネットワークの世界の裏の裏まで知っている世界最高の頭脳だ。
そのエリック・シュミットが、2020年6月18日のBBCラジオで「ファーウェイを通じた中国当局への情報流出は間違いない」と述べて、改めて安全保障上の懸念を示している。
言うまでもなく、ファーウェイは中国最大の通信機器メーカーで、スマートフォンだけでなく、5Gなどのインフラストラクチャー整備でも大きな地位を築いている。言って見れば、中国の最重要国策企業である。
この最先端を支えるために、ファーウェイは中国国家安全当局の工作員、中国国軍、軍のハッカーなどを大量に雇っているというのもよく知られている事実だ。
はっきり言おう。ファーウェイは隠された軍事組織なのである。
だから、アメリカはファーウェイをマークし、禁輸措置の対象にし、世界から締め出そうとしているのである。アメリカはもうファーウェイどころか中国共産党政権そのものを信用していない。
アメリカだけでなく日本も標的だ
ファーウェイ問題は、中国問題でもある。そのため、ファーウェイが締め上げられると、ファーウェイと一体化している中国政府もまた窮地に落ちる。
このままではファーウェイも中国も共倒れになってしまう恐れがあるのだが、この苦境を打開するためには、中国は一丸となって「真の研究開発とイノベーション」を進めなければならない。
しかし、今までパクリと盗みで生きてきた中国企業にイノベーションなどあるはずがない。
そうすると、どうなるのか。
言うまでもなく、これからも中国政府とファーウェイは新素材・基幹技術・ノウハウ・機密情報を全力で盗みにいく。
サイバー攻撃から、ソーシャルハッキングから、主要企業経営者の接待や賄賂から、政治家への闇リベートやハニートラップまで、ありとあらゆる「工作活動」を行う。
当然のことながら、アメリカだけでなく日本も標的だ。
すでにこの瞬間にも、ファーウェイはありとあらゆる方法で日本の技術を盗み取ろうと動いていると考えても間違いない。
日本企業は今まで一心不乱に新技術やノウハウを開発してきている。しかし、素晴らしい技術を開発したら、その途端に盗まれていた。ファーウェイはもちろん日本支社を持っている。拠点はある。そして日本には中国人の工作員が自由に泳いでいる。
だとすれば、これから日本が生き残るためにしなければならないのは、ただひとつ。機密情報や技術を盗まれるのを徹底的に阻止することである。
ファーウェイだけでなく、中国に関わらず、教えず、技術提供もしない。
中国に関わらないことで、日本は巨大で悪質な「敵国」の被害を避ける。日本を踏み台にして成長していた中国が消えれば、日本企業は本来のパフォーマンスを発揮することができるようになるのは言うまでもない。