いま拡散している変異型
さらに、抗体に反応しない危険な変異型に感染するケースがアメリカやヨーロッパで増えていることが明らかになった。それぞれの変異型の拡散は次のようになっている。
<V483A変異型>
アメリカでは、今年の5月の時点では感染者の0.1%程度にしか検出されなかったが、9月には3.7%がこの変異型に感染している。このペースで拡大すると、12月には50%の感染者が、この抗体に耐性を持つ変異型に感染していてもおかしくない状況だとしている。拡大が予想される地域は、アメリカ中西部と北東部になると予測されている。
<A475V変異型>
これも抗体に耐性を持つ変異型のウイルスである。5月の段階ではイギリスとアメリカでこの変異型の感染者は0.1%にしか発見されていないが、どんどん拡大している恐れがある。
<I472V変異型>
これは、もっとも抗体の耐性が高いとされる変異型だ。やはりアメリカとヨーロッパで拡大していることが確認されている。さらに「I472V」は、免疫系のいわば司令塔にあたるT細胞が反応しない可能性が高いとも指摘されている。これから研究論文が公表されるようだが、これは免疫系をすり抜けてしまう変異型なのかもしれない。
まだまだある変異型
さらにこれだけではない。インドのアクシャット・バラジ博士による調査では、インド西端にあるグジャラート州では、17の変異型がさらに発見されている。これらの変異型は感染力が強く、また強い抗体耐性を持つという。
また、「IBM TJ ワトソン研究所」のタカヒコ・コヤマ博士が「世界保健機構(WHO)」に提出した研究では、強い抗体耐性があるだけではなく、有力な治療薬の「レムデシビル」や「ファビピラビル」が効かない変異型も発見されている。
※参考:WHO – Variant analysis of SARS-CoV-2 genomes
「レムデシビル」や「ファビピラビル」は新型コロナウイルスの特定のタンパク質を攻撃するが、このタンパク質が変異してしまったというのだ。
いま新型コロナウイルスにはこのような危険な変異型が出現している。強い抗体の耐性があると同時に、既存の治療薬が効かない変異型だ。新型コロナウイルスは変異が速いウイルスであることが知られているが、やはり気になるのは日本でこうした変異型の拡散があるのかどいうかという点だ。
日本の主要メディアなどではまったく情報は出ていないが、実際はどうなのだろうか?