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コロナ変異型は12月に猛威?新聞が報じぬ米疾病対策センターの警告=高島康司

空気感染の可能性も

また、新型コロナウイルスの空気感染の可能性を示す発表もある。

10月5日、「米疾病対策センター(CDC)」は、新型コロナウイルスの感染経路に関する指針を再び改訂し、空気感染の可能性に関する情報を追記した。

「CDC」の声明では、「限定的かつ特異な状況において、新型コロナウイルスの保持者から6フィート(約1.8メートル)以上離れていた相手にウイルスが感染した」という報告や、新型コロナウイルス陽性者がその場を離れた後に他人が感染したという報告も、一部に存在することを認めた。

さらに、「そうした状況では、換気の悪い密閉空間で感染が発生しており、歌や運動など呼吸が増える活動を伴うことも多かった。そうした環境や活動が、ウイルスを運ぶ粒子の蓄積する原因になった可能性がある」と指摘している。

これは重要な発表だ。一般的に新型コロナウイルスは飛沫を通して感染が拡大するので、人との距離は2メートルのソーシャルディスタンスを維持すれば感染の危険性は低いと言われている。しかし「CDC」が発表したように空気感染するとするなら、この2メートルのソーシャルディスタンスで、感染の危険性が完全に回避されるわけではないことを示している。これが事実なのであれば、十分な注意が必要だ。

さらに、「オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)」の調査によると、紙幣や携帯電話のスクリーン、ステンレススチールなどの表面に付着した新型コロナウイルスは28日間生存することが分かったという。これまで考えられてきたよりも、はるかに長く生存する可能性がある。ということは、ものの表面に付着したウイルスから感染する危険性があることを示している。これも注意しなければならないだろう。

抗体が無効な新型コロナウイルスの変異型

このように、新型コロナウイルスの新たな危険な特徴が毎週のように発見されている。

しかし、そうしたなかでも日本ではほとんど報道されていないのが、新型コロナウイルスの変異に関する情報だ。非常に危険な変異型が発見されているのだ。

ちなみにいま、もっとも世界的に拡散している新型コロナウイルスの株は「D614G」という型だ。これは中国、武漢で拡散した「D614」から変異し、2月にヨーロッパで見つかった変異型である。さらにこの「D614G」にはさまざまな変異が起こり、いまでは100を越える変異型のバリエーションが発見されている。

最近「北京大学健康科学センター」と「北京微生物学および感染症センター」は、自然に変異した80の変異型と、このコロナウイルスが宿主の細胞に侵入するために使うスパイクタンパク質が変化した26の変異型を詳しく調査し、抗体に耐性のある変異型の特定に成功した。

つまりこれは、新型コロナウイルスに対する抗体が有効ではない変異型の存在を特定したということだ。

これらは、新型コロナウイルスの感染力と中和抗体に対する反応性に重大な影響を与える可能性のある変異だという。それらは「N234Q」、「L452R」、「A475V」、「V483A」、および「F490L」などだ。以下がこの論文に掲載されている新型コロナウイルスの変異型の図だ。ぜひ見てほしい。

ちなみにこの図では変異型は円や五角形で示されている。それに書き込まれた英数字は、それぞれの変異型を識別するための記号である。そしてこの図では、それぞれの変異型の特性が4つの色で表されている。以下である。

水色:感染力の増大
黄色:感染力の減少
桃色:中和抗体に対する感度の上昇
緑色:中和抗体に対する感度の減少

ところでここにある「中和抗体」とは、ウイルスなどの抗原に結合してウイルスの活動を減退させたり、消失させる抗体のことである。「中和抗体に対する感度の上昇」とは、体内に侵入した新型コロナウイルスが抗体に反応して不活発になることを示している。また反対に「感度の減少」とは、ウイルスが抗体に反応しなくなり、活動性を維持することを表している。

そして、この図で注目すべきは水色と緑色で表示された変異型である。前者は感染力が強化された変異型で、後者は抗体に反応しなくなった変異型を表している。これを見ると、すでに8つの変異型では感染力が強化され、10の変異型では抗体に対する反応が弱くなっていることが分かる。つまり、抗体が効かなくなっているということだ。また、「D614+I472V」という変異型では、感染力が強化され、さらに抗体にも反応しなくなっている。

Next: いま欧米で拡散している変異型は?日本も無関係ではない

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