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ドル/円反発も上値は限定的?110円~111円水準がタフな上値抵抗に=式町みどり

ドル/円相場が反発中です。ただ昨年一度高値をつけたと思える相場(昨年の125円86銭)は相当の月日を経て弱体化しているため、リバウンドは限られるかもしれません。(『億の近道』式町みどり)

プロフィール:式町みどり(しきまちみどり)
学習院大学経済学部卒業後にフランス語を習得、1973年に仏ソシエテ・ジェネラル銀行東京支店入行。長年にわたり内外金融市場で為替・資金・債券・デリバティブ等のディーラーとして活躍。同行資金本部長を経て退職後、ファイナンシャル・プランナー資格(AFP、CFP®)を取得。NPO法人を立ち上げ、消費者向け講座企画・運営、セミナー、ワークショップの企画事業を行なっている。

※4月13日14時執筆
本稿の情報は、4月13日の東京市場前場終値のレートを主に参考引用しています。なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。

110円~111円の上値抵抗を抜くには余程のサプライズが必要に

急激な円高からのリバウンド、不思議ではないが

4月12日に原油相場の指標WTI原油先物相場が年初来の高値42ドル台をつけてきたことから、リスクオフが続いた相場もやっと「オン」の動きが見られました。

一時107円台をつけたドル円相場も108円台の後半まで、日経平均株価も本日の前場終値16,300円台に戻しました。多くの年で株式が高値をつけるとされる定説5月への動きなのか、一時的な調整なのか?

新年度に入り、日銀短観が示した景気下振れ、企業業績の悪化懸念、米国の利上げ期待への低下、世界の首脳の一部の税逃避話漏えいのスキャンダルまで出て、リスク取りに消極的、上値が重い状況が続きました。それでもドル円相場はレンジ内弱含みながら、心理的下限110円を何とか保ってはいました。

しかし、弱気心理を現実の動きにしたのは、4月5日の安倍首相の米紙インタビュー記事。通貨安政策と恣意的通貨介入を否定する趣旨の発言で一気に107円60銭台まで付けることになりました。あれは、不用意な発言なのか、ある種の戦略あっての発言なのか不明です。

その後は、政府筋、官房長官や財務相による火消し的な急激な相場への警戒発言が続いていますが、一国の首相の発言を完全否定できるはずもなく、首相発言のインパクトは市場に刻まれてしまった感があります。

とはいえ、新年度入り1週間で6円以上という急激な円高。スピード調整で戻す動きが出ても不思議ではないということで、上方へのリバウンドが見られても不思議ではないと思います。投機筋が相当円買いポジションを持っているので、何かのきっかけでショートカバーは十分あり得ることだと思います。

米ドル/円 週足(SBI証券提供)

米ドル/円 週足(SBI証券提供)

当面は107円~111円での動きか

ただ、昨年一度高値をつけたと思える相場(昨年の125円86銭)は相当の月日を経て弱体化しているため、リバウンドは限られるかもしれません。これまでサポートとされていた110円~111円水準が今後は上値を抑える抵抗帯として作用する可能性が強いでしょう。

今朝発表された3月の国内企業物価指数は前年比マイナス3.8%(予想マイナス3.5%)とデフレ色が蘇ってきて、マイナス金利であろうと実質金利はマイナスではないということであれば、円が買われやすい条件が復活したことになります。

来月の伊勢志摩サミット前に出すと期待されている経済対策、7月総選挙を意識した政策、必要なときは何でもやるという日銀の追加緩和など、市場期待に働きかけたいイベントはあると思われますが、下値ストッパーとしての為替介入は期待できず、そして、期待が高まる政策も既に「やることが前提」の織り込み済みになっているので余程のサプライズがないと上値の110~111円は相当タフになるでしょう。

当面は、107円~111円での動きになると考えています。

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