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日銀・岩田副総裁の誤り なぜ円安でも輸出は増えなかったのか?=三橋貴明

輸出量増えず。外れた日銀・岩田副総裁の目論見

ところで、黒田日銀発足後の円安政策は、確かに「外貨を稼ぐ企業の円建て収益」を嵩上げした。例えば、1ドル80円の時点で1億ドルを稼いでいた企業の収益は、日本円換算で80億円となる。これが、1ドル120円になれば、日本円換算の収益が120億円に跳ね上がるのだ。

別に、実質的な付加価値の生産が増えたわけではないが、為替レートという「物差し」が変わることで、日本円建ての売上や利益が激増するわけである。結果的に、日本円で支払われる「法人税」が増え、14年度の税収を押し上げた。

とはいえ、デフレ脱却という点で言えば、企業の支払う法人税が円安で増えたところで、あまり意味はない。もちろん、増収になった政府が財政政策で消費(政府最終消費支出)や投資(公的固定資本形成)を増やすのであれば、総需要が拡大し、デフレ脱却に一歩近づく。

ところが、現実の安倍政権は2014年度以降に「超」がつくほどの緊縮路線を邁進しているわけだ。財政政策を拡大するどころか、縮小している。

というわけで、円安政策がデフレ脱却に貢献するとするならば、それは「輸出増」によりもたらされることになる。輸出とはGDP(総需要)の需要項目の一つだ。輸出が拡大すれば、当然ながら総需要不足は解消の方向には向かう。実際、岩田教授の「波及経路」にも、「円高修正⇒輸出↑」というルートが書いてある。

円安になれば、日本が輸出する製品やサービスの「外貨建て価格」が下がる。すなわち、グローバル市場における価格競争力が向上するわけで、普通に考えて「円安⇒輸出増」は常識と表現しても構わないほどに当たり前の経路に見える。

ところが、現実は違った。

日本の実質輸出と為替レートの推移

日本の実質輸出と為替レートの推移

上図の通り、第二次安倍政権発足後、円の為替レートは1ドル80円台から120円台へと急落した。ところが、輸出「量」で見た実質輸出は全く増えていない。直近の実質輸出は、リーマンショック前はもちろんのこと、東日本大震災前すら下回っているのである。少なくとも、「異次元の金融緩和」が輸出「量」の拡大にほとんど貢献していないことは確かだ。

Next: 「円安⇒輸出増」の常識が崩れた理由とは?

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