「円安⇒輸出増」の常識が崩れた理由とは?
大幅な円安にも関わらず、輸出が増えないのは、現在の世界は貿易量が経済成長率を下回る「スロートレード」の状況にあるためである。世界銀行によると、08年以降の「世界のGDP」に占める貿易の割合は、30%で停滞している。
すなわち、現在は「外需」が伸びにくい状況にあるのだ。そもそも、需要が拡大していない以上、円安政策とはいえども実質輸出を拡大する効果はないのだ。
逆に、小泉政権から第一次安倍政権にかけ、日本の実質輸出は六割も増えた。当時はアメリカの不動産バブルが継続しており、世界全体の需要全体が拡大していた。
「円安により、日本の実質輸出が増える」は、あくまで世界の需要もしくは貿易が膨張しているという前提の上でしか成立しないのだ。
加えて、2013年1月以降に急激に進んだ円安が、果たして「何」に基づいていたのかという問題もある。
例えば、「異次元の金融緩和」によりインフレ率が上昇し、日本円の価値が外貨に対して落ちた。結果的に円安が進んだというならば、まだしも理解できる。とはいえ、現実には日本のインフレ率はゼロ近辺で停滞し、未だにデフレ脱却を果たせていない。
それでは、第二次安倍政権期の円安をもたらしたのは、果たして何者なのか。答えは「投機」である。
『週刊三橋貴明 ~新世紀のビッグブラザーへ~』(2016年4月9日号)より
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