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パソナ、就職難学生1000人を契約社員に。大卒で月収16.6万円の待遇に非難の声

総合人材サービスのパソナグループが、コロナ禍で就職が決まっていない学生らを契約社員として採用し、淡路島の事業所で勤務させる計画を進めていることが分かり、ネットでは様々な反応が飛び交っている。

報道によると、対象となるのは2021年3月以降に高校や短大、専門学校、大学、大学院を卒業する学生ら。最大1000人を2年間の期限付き契約社員として受け入れ、淡路島の社員寮に住まわしたうえで、同社の職場や運営する商業施設に配属するという。

受け入れられた社員は、働きながらビジネスマナーや語学などについて学び、入社2年目から新たな就職先を探すというプラン。就職活動に失敗した学生に、経歴の空白期間ができないように支援するという狙いもあるとのこと。

なお、勤務は週30時間のシフト制で、給与月額は大学・大学院卒が16万6,000円、短大・専門学校卒が16万1,000円、高卒15万6,000円だという。

根強いパソナへのネガティブイメージ

新型コロナ感染拡大による経済停滞で、就職戦線も例年になく厳しいものとなっている今年。それだけに今回の計画に関しては好意的に捉える意見もあるいっぽうで、その具体的な待遇に関しては、いかがなものかといった声が多い。

まず反応として多いのが、そもそもの給与の低さを指摘する声。なかでも学部卒と院卒が同水準で、しかも16万6,000円に抑えられている点に関しては「安く買い叩かれてる」「舐めてんのかマジで」といった声が多く、「これならアルバイトや派遣のほうが稼げる」といった声も。

それに関連して、淡路島の社員寮に住む際に寮費はどうなるのか、と心配する声も。給与の16万6,000円から税金や保険などを引かれた手取りから、さらに寮費も引かれるとなると、手元に残るのは10万円程度かそれ以下か。「何もない淡路島だから、お金は使わなそう」といった意見もあるが、それにしても少々心許ないというか生活にはギリギリな金額。もちろんビジネスマナーや語学の研修が付くものの、それを加味しても決断にはかなりの覚悟が必要となりそうだ。

いっぽうで、入社2年目から新たな就職先を探すというプランについては、「淡路島からだと、転職活動が結構厳しそう」といった意見も。淡路島には空港がなく、公共交通機関で都市部に行くには、まず高速バスで明石海峡大橋を渡らなければならない。ちなみに、淡路島の洲本から神戸の三ノ宮駅までは高速バスで約1時間半かかり、また片道で2,000円弱かかるといい、就活でアクティブに島外に動くとなると、時間的にも金額的にも結構な負担となりそうである。

さらに、「経歴の空白期間を無くす」という目的に関しては、「パソナで契約社員という経歴がハンデ」という辛辣な意見も。さらに、就職難に苦しむ学生を救う策にも関わらず「全然いい話に聞こえないのがパソナだね」といった声も飛び出すなど、昨今のパソナが負うネガティブイメージの根強さを物語るような反応も非常に多い。

淡路島に移住する正社員たちのお世話役に?

このように、一見すると素晴らしいもののようにも見えるが、世の反応はかなり冷たいパソナグループの「就職難学生1,000人雇用」計画。その裏にある思惑として噂されているのが「派遣要員の大量確保」、つまりは青田買いだ。

入社2年目から新たな就職先を探すとのプランだが、事実上それはかなりの困難が伴うというのは先述した通り。契約社員として雇われる2年間が過ぎれば、そのままパソナの手駒として、他の企業や自治体などに高値で派遣されるのではと予測される向きは結構多い。つまり非正規からはどうやっても抜け出せないという見立てだ。しかも就職難のご時世なうえに、「このままでは経歴に空白が…」という危機感を煽っての大量雇用ということで、採用コストは通常よりも安価で済むとなれば、パソナ側としては大笑いだろう。

くわえて、今回の思惑として取沙汰されているのが、例のパソナ本社機能移転で淡路島に移ってくる正社員のためのものでは、という噂だ。

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今後、本社従業員のうち1,200名が淡路島へと移住する計画があるパソナ。もちろん、その社員の中には配偶者や子どもがいる者もいるはずで、そう考えれば淡路島への流入はそれ以上の規模となりそう。パソナグループが淡路島で運営している施設には飲食店なども多くあるようで、それらも含めた「正社員様ご一行」の日々の生活を支える施設にも、今回雇用される1,000人から配属されるとみて間違いなさそうだ。

雇用が確保された正社員のお世話をする、2年の期限付きで雇われた契約社員の従業員たち。パソナが淡路島で運営しているアニメパーク「ニジゲンノモリ」では、来春「ドラゴンクエスト」の世界観を再現したアトラクションができると話題になっているが、それ以前に淡路島全体が「格差社会のテーマパーク」と化してしまわないか、心配する声は多い。

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