介入は困難。ラガルド専務理事が日本に言及した本当の背景
しかし、これで本当に為替介入が可能なのかといえば、疑問が残る。ラガルド専務理事がわざわざ日本について言及した背景には、何かしら理由もありそうだが、そのIMFの関係者からは次のような発言も出ていた。
IMFの対日審査責任者を務めるリュック・エフェラールト氏は12日、ワシントンでのインタビューで、「為替レートが極めて無秩序な動きを示さない限り、現時点での日本の介入には正当な理由はない」と発言していたのである。
出典:IMF:日本の為替介入に正当な理由なし – Bloomberg(2016年4月13日)
要するに、「過度な相場変動」という表現に対する、解釈の違いがここには存在する。G20では「過度な相場変動」に対する介入の必要性は認めており、その解釈のうえで今回のような円高にも介入で対応できるかといえば、現実にはかなり難しいといえる。
エフェラールト氏の発言にもあったように、「極めて無秩序な動き」つまりは過去のイングランド銀行を狙い撃ちにしたような動きや、百年に一度といった金融不安による通貨の急落などに対しては、介入の必要性は認める。しかし、今回の円高は円安がやや進み過ぎたことへの調整ともいえるため、無秩序な動きに該当するとは思えない。
もちろんこのあたりに解釈の余地はあると思われるが、少なくとも米国やIMFが今回のような円高の是正に対して、介入もありうるとした日本の意向に賛同するとは考えづらい。このため、日本での為替介入、特に通貨安となる円売り介入についてはかなり困難ではないかと思われる。
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『牛さん熊さんの本日の債券』2016年4月15日号より
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