プロスポーツやコンサートのチケット販売に、政府がマイナンバーカードの活用を検討していることが判明し、反響が広がっている。
報道によると、チケット購入時と会場への入場時に、マイナカードの電子証明書機能を活用して本人だと確認することで、第三者への高額転売を防ぐとのこと。すでにチケット販売にマイナカードが使えるかどうかを調べる実証実験を行っており、課題を検証して早期の導入を目指したいとしている。
政府としてはマイナカードが活用できる機会を増やすことで、幅広い普及を狙いたいという思惑のようだ。
外国人観光客はチケットを買えなくなる?
2022年度末までにほぼ全ての国民が取得することを目指していたものの、今年10月末時点での交付枚数率は51.1%に留まっているマイナンバーカード。
そんなマイナカードに関しては、最大2万円分のポイントが付与される「マイナポイント第2弾」が現在行われているなど、国民の歓心を買うようないわゆる“太陽作戦”で取得者を増やそうとする反面、地方自治体に対しては、マイナカードの交付率を地方交付税の算定に反映することを匂わせて尻を叩くなど、普及率アップに躍起だった政府。
ところが、それでもなかなか普及が進まない状況に業を煮やしたのか、今年10月には現行の紙の健康保険証を2024年秋に廃止し、マイナカードと一体化することを発表。さらに“マイナ免許証”に関しても、これまで2024年度末としてきた導入時期を前倒しすることを検討するなど、ここに来て“北風作戦”へと転じているといった状況だ。
そんななか報じられた、今回のチケット販売へのマイナカード活用。大昔からコンサート会場などでよく見かけ、その利益が反社組織の資金源とされてきた“ダフ屋”はもちろん、近年ではネット上のオークションやフリマサイト、またチケット転売サイト上などでの業者や個人による不正転売や高額転売も横行するなか、その存在に苦渋をなめ続けてきた純粋なファンにとっては、マイナカード活用によってチケットが適正価格でより容易に手に入るようになるということで、歓迎する声が大いにあがってもおかしくないところ。
しかしながらSNS上の反応をみると、「国民の推し活にまで首を突っ込むなよ」といった批判的な意見が多数といった状況。普及率がなかなかあがらないことからも分かる、マイナカードに対してのそもそもの不信感にくわえ、いわゆる“転売ヤー”と呼ばれる存在に対する幅広い層からの嫌悪感を利用する格好で、マイナカードの普及率をアップさせたいという政府の姑息な目論見が透けて見えるところにも、反感が広がっているようだ。
アイドルのコンサート観に行くのにマイナンバーカードが必要になるのか?国民の推し活にまで首を突っ込むなよ。
国民には本質的な利益でなくてお小遣い程度の利益しか与えずに、国民を管理統制し吸い上げることしか考えない政府だな。https://t.co/6mwmYMBvZZ
— 苺の庭文庫 Strawberry Garden Library (@ichiniwa) November 27, 2022
「マイナンバーカードないと推しが見られないですよ」ってわけか
もうあらゆる手段を使ってくるな https://t.co/HqxNHrvb3v— CDB@初書籍発売中! (@C4Dbeginner) November 27, 2022
利権絡みでせっつかれたのかもうなんでもいいからマイナンバーカードを普及させたい政府,高額転売防止へチケット販売にマイナカード活用させるとか
おそらく転売ヤーへの反感に乗っかろうという猿知恵でしょうが……
「購入・入場時に本人確認」って気は確かですか!?
個人情報の塊を人混みで使えと
— 大沢愛 (@ai_oosawa) November 27, 2022
また、仮に今回のプランが実際に導入されたとして、コンサートなどに複数人で行く場合には、チケットをまとめて買う人にマイナンバーを伝えなければならなくなるのでは……といった危惧も。「他人に伝えるなどもってのほか」とされていたマイナンバーを、家族同士とかならまだしも、推し友やヲタ友といういわば“赤の他人”に教えて良いのか、というわけだ。
友だちにまとめて買ってもらう時はマイナンバーを伝えなきゃならんのですか。先方も負担でしょうに…→高額転売防止へ、チケット販売にマイナカード活用…購入・入場時に本人確認(読売新聞オンライン) https://t.co/SCKtfkjWiR
— Shoko Egawa (@amneris84) November 28, 2022
マイナンバーって他人に知られてはいけない大事な番号だったのでは?
複数枚購入したら、大事な番号をヲタ友に教えなきゃいけないの?この国の政府は本当にアホだと思う…
— しげる (@shige_gengen) November 28, 2022
さらにはマイナンバーやマイナカードというものが、日本国民向けのローカルなものということもあり、仮にチケット購入にマイナカードが必須になれば、外国人はその手のエンタメイベントに参加できなくなるのでは、といった見方も。
これって外国の人が日本に来ていてコンサートを聴くのはめんどくさくならないんですかね。
インバウンド政策と衝突しないのかな?高額転売防止へ、チケット販売にマイナカード活用…購入・入場時に本人確認 #ldnews https://t.co/NtBoP9GRmd
— 糖類の上 (@tinouye) November 28, 2022
訪日客の外国人どうするの?
政府はアホの集まりなの?政治資金パーティー参加者もマイナンバーで管理してみたら?
あと政治献金も— 🍄🍆モタスポファン33🍆🍄 (@motorsportsfan7) November 27, 2022
いわゆる転売ヤーの担い手が、必ずしも日本人ばかりではないということで、その点でむしろ効果的ではといった声もあがるいっぽうで、インバウンド復活で海外からの観光客を大いに受け入れようという状況下で、例えばスポーツイベントなら大相撲など、日本ならではのコンテンツから外国人を排除する形になる、というのだ。
モッシュ&ダイブで大事なマイナカード紛失の危機
そもそもマイナンバーといえば、使用できる利用範囲が年金や医療福祉などの「社会保障」や「税」、さらに災害発生時の支援金などの「災害対策」という、3つの行政手続きに限定されていたはず。
しかし、今回報じられたスポーツやコンサートのチケット販売への活用は上記の利用範囲からは明らかに逸脱しているとあって、そういった点からも「利用シーンを安易に拡大」と批判もあがっているところである。
マイナンバーの利用目的の範囲は、社会保障、税、災害に限定されている。
何を勝手にエンタメにまで広げようとしているのか。
より多くの民間業者が関われば、個人情報の漏洩リスクも高まる。無闇に広げるべきではない。
またカードを持っていない人はチケットが購入できない事態に発展しかねない。 https://t.co/90XHHbJRvt pic.twitter.com/X6KPzup7zb— MONOnihaTEIDO (@MONOnihaTEIDO) November 28, 2022
ほら結局こうやって利用を安易に拡大していくことに/高額転売防止へ、チケット販売にマイナカード活用…購入・入場時に本人確認(読売新聞オンライン)#Yahooニュースhttps://t.co/FvS91uHozE
— Master Guchi (@masterguchi) November 27, 2022
くわえて、さらなる“そもそも論”でいえば、元々は厳重に保管すべきだったマイナカードだが、今回のプランだと入場時に掲示が必要となるなど、会場に持参しなければならないという点にも、少なからず不安の声が。
そのことは保険証や免許証が一体化されるという話題でも大いに取沙汰されたことなのだが、殊に音楽ライブなどになると、今後コロナによる制限が終われば、以前のようなオールスタンディングで密集といった状況、さらにジャンルによっては観客同志での揉み合いといった場面も考えられるなど、紛失や盗難の観点からかなり心配だというのだ。
当初は「大切に保管しましょう」だったのに、「もっともモノを無くしやすい人混みに持っていく」にしようとしている。
「会場にマイナカードを読み取る端末を設置する必要がある。スマホを持っていない人や家族の分をまとめて購入した時に、どうやって本人を確認するのか」https://t.co/Z8kimTzGHk
— 武田砂鉄 (@takedasatetsu) November 27, 2022
各種プレイガイドがサイバー攻撃受けたらマイナンバー流出しそうよなぁ…なるべくカードは情報保存せずに毎回入れるようにしてるけど…
あと、モッシュ&ダイブがあるようなライブでは財布落とす人&スリにあう人情報を見掛けるから、入場時にマイナカード持ってそういう人混みに入る事になるんかぁ…— ヒーみぃーこー (@Floatingmayfir) November 27, 2022
マイナカード普及に向けて、もはや前のめりを通り越して焦りしかないといった様子の政府。そんな状況を一変させるための秘策としてぶち上げた感もある、今回のチケット販売での活用だが、そんな小手先のプランで普及率が改善されるワケがない……というのが、多くの見方のようだ。
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