株価は史上最高値を更新し続けている。だが、多くの人が「景気の良さを感じない」と口にする。物価は上がり、給与は伸びず、家計は苦しいままだ。一方で、株式や不動産を保有している人は確実に資産を増やしている。いまの日本経済では「資産を持つ者」と「持たない者」の差が決定的に広がっている。なぜ株価が上がっても生活は楽にならないのか。そして、どうすればこの格差の波に取り残されずに済むのか。(『鈴木傾城の「フルインベスト」メルマガ編』鈴木傾城)
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プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。
盛り上がる株式市場…あなたは恩恵を受けているか?
株式市場が日米共に上昇機運にある。あなたは恩恵を受けているだろうか?
先日、新聞の報道で以下のような内容の記事があった。
「日経平均株価が連日で史上最高値を更新している」
「一方、市民からは恩恵を実感できないという声」
「専門家は国内経済そのものが成長していないと指摘」
物価の上昇や家計の圧迫を嘆く声はかなり大きい。逆に給与が大幅に伸びたという実感を持つ人は少ない。株価は上がっているが、生活は悪化している。
なぜ株価の高騰と市民の生活実感がこれほどまでに乖離しているのか。

日経平均株価 日足(SBI証券提供)
別に不思議なことではない。株価は企業業績や金融政策、世界的な投資マネーの動向などによって動く。つまり、株式市場の値動きはかならずしも国民生活の豊かさや経済全体の成長と直結していない。
国内がインフレだと企業は商品やサービスの価格を上げるので必然的に名目売上は上昇する。売上が上昇すると、株価は当然上がりやすくなる。つまり、インフレは株価も押し上げることになる。
さらに輸出大手の自動車メーカーや半導体関連企業などは、「円安」の恩恵も受けて海外での収益を増加させているわけで、それもまた株価を押し上げている。
国民の生活と関係ないところで株価は動いているのだ。
その利益が国内の従業員の賃金に還元されればいいのだが、企業はそういうことをしない。賃金を上げると利益が減る。企業は利益を積極的に減らすわけがない。
そんなわけで、インフレの時代になっても賃金が上がらず、社会全体の消費に十分還元されない。
物価上昇を加味すれば労働者の購買力は低下している。名目賃金がわずかに上がっても、食品やエネルギー価格の上昇に追いつけず、生活の余裕は失われる。これが「株価は上がっているのに生活は楽にならない」という声の原因である。
ぼーっとしていたら、やられるばかりだ。
さっさと投資家になっていればよかったのだ
日本の経済成長率は長期にわたり低迷している。実質GDP成長率は1%台にとどまり、人口減少と高齢化の影響もあって潜在成長率は0%台だ。株価が史上最高値を更新する一方で、国全体の経済は停滞したままである。
そうなれば、国民の感覚からすれば、たしかに株価高騰のニュースは「どこか遠い国の話」のように映ってもしかたがない。
だが、株式を長期で保有している人は違う。