ルービニ教授が警告する日本財政破綻の条件~絶対に売ってはいけない米国債24時!?

リーマン・ショックを的中させ一躍有名となったニューヨーク大学のヌリエル・ルービニ教授が「日本財政が危うくなるのは、2%の物価目標が達成するか、日銀が緩和策を終了する時」だと警告しました。現在、日銀の買い入れにより低く抑えられている国債金利が維持できなくなり、国債の大量売却が始まる時が危機の始まりだと言います。(『マンさんの経済あらかると』)

NY大学のヌリエル・ルービニ教授が日本の財政破綻を警告

財政危機対応の時間的猶予は「異次元緩和終了」まで

クリスマス・イブの24日、政府は2016年度予算案を閣議決定しました。歳出総額は96.7兆円と最高額を更新、一方税収増で新発国債は34.4兆円に抑え、経済再生と財政再建の二兎を追う形となりました。

折しも、ニューヨーク大学のヌリエル・ルービニ教授が、日本財政が危うくなるのは、2%の物価目標が達成するか、日銀が緩和策を終了する時、と警告しました。

ルービニ教授は、日本の公的債務がGDPの240%にも達しながら、危機が表面化しないのは、日銀の買い入れにより、国債金利が低く抑えられているためで、それが維持できなくなり、国債の大量売却が始まる時が危機の始まりと警告しています。

日銀の異次元緩和実施期間が猶予期間、ということになります。その間に財政再建にめどを立てる必要があります。

その割に、政府には財政に対する危機感がありません。危機感のない政府と財務省との間で軋轢が強まっています。そもそも消費税再引き上げ時の軽減税率による1兆円余の財源さえ、決まっていません。政府からはアベノミクスによる税収増や、円安で発生した外為特会の差益(埋蔵金)20兆円を使え、といった声も上がり、論議を呼んでいます。

財務省にしてみれば、円安、株高で企業収益、税収が増えた分は、今後海外環境如何ではどうなるかわからず、外為特会の差益を活用するには、その分のドル資産を売らなければなりません。それは円高を招き、結果として差益(埋蔵金)が減ってしまい、なによりドル資産の売却は米国政府が首を縦に振らない、との意識が強くあります。

来年度予算では、名目GDPの成長率を3.1%と高めにおき、そのもとで税収が57.6兆円と、バブル時の90年、91年度以来、3番目の高い税収をあて込んでいます。景気が下振れしたり、為替が円高になり、株価が下落したりすると、この税収は厳しくなります。「アベノミクスの成果」を、永続的なものとして組み込んでいる点に危うさを感じます。

利払い費を払うために国債を発行する悪循環に陥る恐れ

ルービニ教授の言う危機は、日銀が国債を買わず、むしろ売る段になって金利が急騰するケースを想定しています。来年度予算の中で国債費は23兆円余、このうち利払い費は10兆円を想定しています。前提となる長期金利は1.6%で、これまでの1.7%と言う不自然な水準からは引き下げましたが、まだ余裕があります。日銀が緩和を続ければ、来年も2兆円以上のおつりがきます。

しかし、1千兆円以上の国債を発行していながら、利払い費が10兆円以下で済んでいるのは、日銀の国債買い入れにより、金利が低く抑えられているからです。2%インフレが実現し、日銀が自然体に戻れば、長期金利は3%以上に跳ね上がり、ゼロ金利も修正すれば、中短期国債の利回りも上昇します。国債の利払い費はすぐに30兆にも高まります。

そうなると、国債費、つまり利払い費を払うために国債を発行する悪循環に陥り、予算は組めなくなります。そして財政危機が表面化します。この点を考えると、政府の名目3%強の成長と言う前提は危険です。現在のGDPギャップは0.4%しかなく、潜在成長率が0.5%以下となれば、当面実質成長率は1%にも届きません。そこで名目3%成長に拘ると、物価が2%以上になります。

そうなると、日銀の目標達成で、現在の大量国債買い入れは見直しへとつながり、国債利回りに動揺が走ります。異次元緩和の終了となれば、国債価格下落を恐れて金融機関が国債の売却に走り、さらに金利が高まります。

労働需給がタイトで、景気対策を打っても成長余地がない時には、財政で無理に景気支援をする必要はなく、無理をすれば逆に副作用が出ます。こういう時には、経済成果として税収が増えた分で、国債の減額を進め、財政危機のマグニチュードを少しでも小さくしておく必要があります。

今は二兎を追う時期ではなく、赤字削減を優先した方が、日本のためです。

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マンさんの経済あらかると』(2015年12月25日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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