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コロナが終われば株価は下がるか?私が狙う「買い時」と、おかしな相場との付き合い方=栫井駿介

今は歯止めの効かない「モラルハザード」

しかし、マクロ経済的に考えると、経済全体のパイが急速に拡大していない限り、すべての会社の利益が増え続けるということはありません。

利益が拡大する企業の裏には必ず利益を減らしている企業が存在します。それが、いわゆる「旧来型企業」のくくりに入る百貨店などでしょう。

別の考え方をすれば、企業や消費者がコストをかける場所を変えただけとも言えます。これまで旧来型企業に振り向けられていたコストが、一気にデジタル型企業に流れ込んだのです。各国の政府が無条件で「給付金」を配ったこともその動きに拍車をかけました。

それでは、これからの未来がどうなるか考えると、旧来型企業の経営はますます苦しくなることが想定できます。一度デジタルに流れると、コスト高になる旧来型消費へ戻るのは難しくなるでしょう。少なくとも、これらの企業には投資できないということになります。

これが通常の経済なら、衰退企業の経営が苦しくなり、倒産や失業者が増えて景気が悪化します。銀行も貸し出しを渋るようになり、株式などの金融資産にもお金が回らなくなるはずです。当然、調子の良い企業の業績にも多少なり影響してくるでしょう。

しかし、現在はこの歯止めが効いていない状態です。苦しい企業にも政府の給付金や無利子貸付などで生き残る状況が続いています。銀行の融資にも政府保証がつきますから、銀行は野放図にお金を貸してくれます。このような状態が当たり前となり、モラルハザード状態となっているのです。

「金利の正常化」を織り込んだ時、上昇は終わる

このモラルハザードはいつまで続くのでしょうか。

ひとつはっきりしているのは、おかしな状態はいつか終わるということです。無限にお金が出てくる打ち出の小槌など存在しません。どこかで必ずひずみが出てきます。

各国の政府が恐れているのが、急激なインフレです。かつて多くの国が経験したように、インフレは社会の混乱をもたらします。やがてはもとに戻るのですが、その過程で一部の人が切り捨てられることになります。切り捨てられるのは、高齢者や資産を持たない人たちです。

高齢者の年金は実質的に減額となり、資産を持つ人と持たない人の格差はますます拡がるでしょう。このような事態は政治を不安定にさせますから、政府としては何としても避けたいのです。

ただでさえ米国の「持つ者」と「持たざる者」の格差は拡がり続けていますから、これを是正するための富裕層への増税などは、特に米民主党政権下では想定される事態でしょう。金利の「正常化」ということも近々考えなければならない局面がやってくるかもしれません。

そうなると、契機となるのはやはりコロナ禍の終焉ということになるのではないでしょうか。

このまま低金利を野放しにしていると、資産価格はどんどん上がり続けるでしょう。そこに対して常識的な手を打てば、資産価格の上昇には歯止めがかかると想定されます。

株価は10ヶ月先を反映すると言われます。コロナが落ち着き、利上げの機運が少しでも高まりそうになったら、この上げ相場が終わる可能性があると考える必要があります。

Next: 大きな波を狙うと失敗する? 買い時をどう見極めるか

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