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住まいの終活とは?3つの選択肢と準備しておくべきこと

長寿化に伴い、自身の老いや死に関するさまざまな事柄に備える「終活」が注目されるようになりました。終活で準備しておくべきことはたくさんありますが、「持ち家をどうするか」は大きなテーマの一つではないでしょうか。

持ち家は家族に残すこともできますが、状況によっては相続でトラブルになる可能性もあります。自身の老後の住まいにも影響を与えるため、早めに準備をしておくことが大切です。今回は、住まいの終活における3つの選択肢と準備しておくべきことを解説します。

住まいの終活とは

「住まいの終活」という言葉に定義があるわけではありませんが、本コラムでは「生前のうちに亡くなった後の住まいのことを考えること」とします。持ち家に住んでいる場合、自身が亡くなった後にその家をどうするかを考えておかなくてはなりません。

不動産は所有権のみならず、誰が居住するかという問題が起こるため、相続人が複数いる場合は平等に分けるのが難しく、相続でトラブルになることもあります。また、現金化しておくことで均等に分割できますが、生前に売却すると「老後の住まいをどうするか」という問題が生じます。

誰にでも当てはまる唯一の正解はないため、自身の状況に合った方法を選択することが大切です。

住まいの終活における3つの選択肢

これから住まいの終活を始める場合、大きくは以下3つの選択肢が考えられます。

生前に贈与する

1つ目は、持ち家を生前贈与する方法です。同居している親族(子どもなど)に贈与すれば、贈与後も同じ家に住み続けられるため、老後の住まいの心配はなくなります。ただし、不動産を贈与すると、贈与された親族には贈与税がかかります。贈与税の負担を軽減する制度としては「相続時精算課税制度」があります。

相続時精算課税制度とは、原則として60歳以上の父母または祖父母から、20歳以上の子または孫に財産を贈与した場合に選択できる贈与税の制度です。同一の贈与者からの非課税限度額は2,500万円で、限度額を超えた部分については一律20%の贈与税率が適用されます。

相続時には、相続時精算課税制度の贈与財産と他の相続財産を合計して相続税を計算します。税金が免除されるわけではなく、贈与財産(持ち家)は相続税の課税対象となる点に注意が必要です。

参考)相続時精算課税制度とは?メリット・デメリットを紹介

生前に売却する

2つ目は、生前に持ち家を売却する方法です。子どもに持ち家を残したいなら、親から子に持ち家を売却する「親子間売買」が選択肢となるでしょう。税金の取り扱いは、基本的に通常の不動産売却と同様です。ただし、実勢価格より著しく安い価格で売却すると贈与とみなされ、贈与税が課税される可能性があるので検討の際には専門家などに相談した方が良いでしょう。

一方、親族に持ち家を残さない場合は、通常の不動産売却やリースバックが選択肢となります。

リースバックとは、自宅を売却してまとまった資金を手に入れながら、家賃を払うことで同じ家に住み続けられるサービスです。そのため、通常の不動産売却で発生する売却後に住む家を探さなければならないという問題が解消されます。また、自宅を売却して現金化すれば、財産を分配しやすくなるため相続トラブルを避けられます。親子間売買のように、贈与とみなされる心配もありません。

(参考)
不動産の親子間売買とは?デメリットや手続きについて解説
リースバックとは?メリット・デメリットを解説

相続させる(何もしない)

3つ目は、何もせずに持ち家を相続させる方法です。生前贈与や売却をせずに、何もしないのも選択肢の一つとなります。

しかし、何も対策しないと遺産を巡っての相続トラブルが発生する可能性があります。相続トラブルを回避したいのであれば、専門家に相談の上「遺言書を書く」「公正証書を作成する」といった準備をしておくと良いでしょう。

住宅ローンを計画的に完済する

住まいの終活では、住宅ローンを計画的に完済することも重要です。持ち家に住宅ローンの残債がなければ、終活を行う際の選択肢が広がります。

贈与や相続では、債権がないことで財産をスムーズに引き継ぐことができます。また、通常の不動産売却やリースバックを利用する場合は、売却代金からローン返済を行う必要がありません。また、売却によってまとまった資金を手に入れることができるため、十分な老後資金を確保できます。

相続人がいない場合はどうする?

独身で両親も兄弟もいないなど、持ち家でも相続人がいない場合は、何も対策を行わないと管理者不在の空き家となってしまいます。相続人がいない場合、第三者に財産分与を行うこともできるため、持ち家を相続させたい人がいる場合は、専門家に相談して遺言書を作成するといいでしょう。

まとめ

持ち家をどうするかは自身の老後の生活はもちろん、相続人となる家族にも大きな影響を与えます。持ち家に関するトラブルを防ぐには、亡くなるまでのプランを立て、早めに準備にとりかかることが大切です。老後の生活を豊かなものにするためにも、住まいの終活を始めてみてはいかがでしょうか。

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