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ワクチン特許権放棄では“接種遅れ”は解決しない。製薬会社を「儲けすぎ」と批判する前に日米政府がやるべきこと=房広治

オックスフォード大学はコロナが発生することを予測していた

私がオックスフォードワクチングループを所有している学部の特別戦略アドバイザーに就任したのは、2016年1月のこと。今から5年前である。

その9カ月前に、ビル・ゲイツの有名なTED Talkのビデオアップしていたのをどこかの段階で観ていたため、感染症で100万人以上の人間が亡くなる可能性の方が、戦争でなくなる確率よりも多いのではないかというゲイツの分析を観て、なるほどとすでに頭に入っていた。

日本人の感染症の専門家がびっくりするのはここからである。オックスフォード大学では、コウモリ由来のコロナが、SARS、MERSと2つ目が出て来たときから、3つ目が出てくることを予想していたのだ。もちろん、3つ目で終わると思っておらず、4つ目も、5つ目も来ると思っている。

SARSは中国で2002年11月に、MERSは、中東で2012年4月に最初の感染者が認識されている。もちろんこの感染者が本当に動物から感染した初めての人なのかは誰にもわからないため、最初に感染した月というのもだいたいでしかない。

いずれにしても、10年弱で2つ目のコウモリ由来のコロナが流行ったので、10年スパンでみると3つ目も出てくると信じていた。そして、SARSからほぼ18年経ったところでCOVID-19である。

製薬会社を「儲けすぎ」と批判するのはおかしい

当然、イギリス政府も他の政府も、どの政府もこんな風に予想していなかったので、今回の体たらくである。

ドイツのBiontechとモデルナもオックスフォード大学と同じく、COVID-19と名前がつく前から、登場を予想していたわけだ。すなわち、政府の補助がなくても、10年間、投資を続けた。

車の製造で言うと、A地点からB地点に行くのに、どんな複雑な道であっても、高速で走れる自動運転のソフトウェアを搭載した車体が用意されており、エンジンだけを選べばよい状態になっていたような状況を想像してほしい。

これが、今まで10年かけて創られてきたワクチンが、1年で供給が始まった秘密である。もっと内情を説明すると、COVID-19の分子レベルでの解析結果を受けてから2カ月以内に、オックスフォード大学のワクチンは動物実験が行われていた。これが第1フェーズである。

大学は、寄付で10年間研究を続けたため、アストラゼネカに対して、COVAX経由で5ドルで売ることを条件にし、初期投資の回収を含めて、今年までは、ある一定量をインドのセーラム社でライセンス生産させている。そのため世界最大のセーラム社の製造の過半数がアストラゼネカ製のワクチンで、これが発展途上国向けに行っているほとんどの部分になっている。

ファイザーやモデルナは、一般企業であるため、同じように10年間投資をしていたとすれば、彼らこそが、先の見通せない製薬会社や政治家よりも、このパンデミックを収束されることが称賛されるべきで、「儲けすぎ」とか特許を一時停止するべきという概念は、おかしいのではないかと思う。

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