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消費税20%はすぐそこ。大増税に備えて今すぐ“海外”投資を始めるべき理由=俣野成敏

日本の年金制度はすでにボロボロ

「問題は、それだけではない」と織田さんは言います。「今の日本で少子高齢化が進んでいることは、ご存じの通りです。ただ、その変化のスピードがあまりにも速すぎて、年金制度を揺るがすほどの事態になっているのです」と。

織田さんも、しばしばクライアントから「果たして年金は出るのでしょうか?」「どれくらいもらえるのでしょうか?」と聞かれることが多いのだとか。

もちろん、国もぼんやりしているわけではありません。

「このままでは、年金の財源が枯渇してしまう」「現役世代の負担が大きくなってしまう」というので、2004年に導入されたのが、マクロ経済スライドという仕組みでした。

マクロ経済スライドとは、毎年、改訂される年金給付額の改定率を調整することで、給付額の増加を抑え、現役世代の負担を軽減しようというものです。ところが、この仕組みはデフレ下では発動しないため、実際に発動したのは2015年度、2019年度、2020年度の3回だけとなっています。

厚生労働省は、2014年に財政検証を行った際に、「万一、このまま経済再生が実現しなかった場合、今のままでは所得代替率が35~37%程度に低下する可能性がある」ということを発表しています。法律で「所得代替率50%を上回るようにする」としているにもかかわらず、です。

所得代替率とは、現役男性の平均手取り収入に対する、夫婦の年金額の比率のこと。たとえば2014年の現役男性の手取り収入34.8万円に対して、厚生年金の標準的な年金受給世帯の年金額は21.8万円、所得代替率は62.7%でした。

つまり、仮に制度が上手く機能したとしても、「年金は所得代替率の50%程度しか出ない」ということになります。たとえば、2014年の所得代替率が50%だったとすると、年金給付額は17.4万円になるということです。この金額で、老夫婦2人が生活していくのは、なかなか厳しいのではないでしょうか。

ですから、「今から老後に対する備えをしておく必要がある」と織田さんは言います。私も、まったく同じ意見です。

「年金制度は毎年のように改正されており、このままいくと、いくらもらえるのか分からない状態です。老後になって、アテにしていたお金が入らなくて困るよりは、ひとまず年金のことはないものと思って、資産形成を行うことが重要なのではないでしょうか。その老後資金をつくるための手段の1つが、投資なのです」(織田さん談)

すでに、2015年より公務員や教職員などの共済年金も厚生年金に統一され、他にも、短時間労働者への厚生年金の適用拡大や、年金受給開始年齢の後ろ倒しなど、とにかく国はあらゆる手段を使って、年金制度の延命を図っている状態です。

【参考文献】『図解年金のしくみ(第6版)年金制度の問題点を理解するための論点40』(みずほ総合研究所、2015年、東洋経済新報社)、日経新聞Web版、厚労省HPほか

加速する“大増税社会”

増え続ける年金を含め、社会保障費には、当然ながら税金が投入されています。2012年に、当時5%だった消費税を「2014年から8%にする」ことが決まりましたが、その増税した分の中から、基礎年金の国庫負担を2分の1にすることが恒久化されました。

社会保障費を税金で賄っている当然の帰結として、日本では増税が相次いでいますが、それだけではありません。

2019年、IMF(国際通貨基金)が日本経済について分析した報告書を発表しました。その中で、「増大し続ける社会保障費を賄うために、2030年までに消費税を15%に上げる必要がある」と明記。さらに「2050年までには20%にすべきだ」と結論づけられています。
※参考:日本の消費税、2030年までに15%に IMFが報告書 – 日本経済新聞(2019年11月25日配信)

消費税に関しては、2019年より軽減税率を除いて10%に引き上げられたことは、ご存じの通りです。

他にも、2015年には相続税が増税された上に、課税対象者も増え、2019年には出国税が設けられました。2020年も、年収850万円以上の人の所得税が、一部の人を除いて増税となるなど、近年の日本は、まさに“増税ラッシュ”さながらの状況になっています。

その他、日本には二重課税問題もあります。ガソリン、お酒、タバコです。たとえばガソリンを例に取ると、ガソリンには揮発油税、地方揮発油税、石油石炭税など、さまざまな税金がかかっているうえに、さらに消費税がかけられます。これが、二重課税と言われる由縁です。

ガソリンといえば自動車ですが、自動車も本体購入時以外に、毎年、自動車税や駐車場代など、多額の費用がかかります。

財務省のHPによると、2020年第2四半期の日本のガソリン1リットル価格のうち、52.9%が税負担分だとあります。
※参考:自動車関係諸税・エネルギー関係諸税に関する資料 : 財務省

こうした状況が、今後ますます進むことは、火を見るよりも明らかなのではないでしょうか。

Next: 投資を検討するなら「海外」に目を向けること

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