債券王ガンドラックの予測では、ここからインフレは継続して上昇し、7月にいったんピークを迎えるとしています。FRBのメンバーもほとんどが「インフレは一過性」という言説を増幅するような発言に動いており、果たして今年の後半に向けてもこの説を維持できるのかどうか。ここからは「良好な経済指標=早期テーパリング実施」などという短絡的な見方ではなく、より深くFRBの動きを観察していく必要がありそうな状況です。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)
※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2021年5月19日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。
「米国のインフレは7月にピーク」債券王ガンドラックの見立て
ジェフリー・ガンドラックは、ここのところYahooファイナンスの動画に頻繁に登場し、彼がCEOを務めるダブルライン・キャピタルが誇るインフレ予想モデルによる具体的な予測を口にしはじめています。
リアルな相場では、米国の経済指標がちょっと良いとインフレ懸念とFRBのテーパリングリスク予測のノイズレベルが高まり、先行きがよくわからない状況。
それがダブルラインの予測では、ここからインフレは継続して上昇し、7月にいったんピークを迎えるとしています。
ただし、一過性のインフレが一息つくとしても、その先にまったく問題のないインフレ水準に収斂する保証はどこにもないとしており、7月以降もインフレが継続した場合には、市場のリスクはさらに上昇すると見ているようです。
ドルは長期的には安くなるが年末までは上昇という見方
ガンドラックは足もとの市場では、NASDAQやビットコインに見られるように異常な過熱感のある投資状況がいったんは沈静化しつつあると見ているようです。
これによりコモディティも強気から上昇停止と予想しているようですが、ドルに関しては長期的にはドル安方向に動くとしても、年末までは債券金利上昇の影響などから強く展開することを想定しているようです。

米ドル/円 日足(SBI証券提供)
ガンドラックの見立ても結構、コロコロと変わりますから、そのままどこまで信用するかはひとつ大きな問題になります。
しかし、この予測がおおむね間違いないとすれば、ここからドル円は簡単に下落することにはならなさそうで、夏に向けて上昇すること、さらに年末に向けても高値をキープする動きとなることをある程度は想定しておく必要がありそうです。
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