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秘書がリコール不正に関与の高須院長、“大村憎し”の維新に利用された哀れな「裸の王様」説も

大村秀章愛知県知事へのリコール活動における署名偽造事件に関して、高須クリニック院長の高須克弥氏の女性秘書が、押印のない大量の署名に指印を押す不正に関与した疑いが浮上し、大きな波紋を呼んでいる。

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報道によると、女性秘書が不正に関与したのは、」署名の提出期限直前だった昨年10月下旬~11月上旬。現場には、佐賀市でアルバイトが偽造したとみられる同一筆跡の署名が運び込まれ、事務局長を務めていた田中孝博容疑者の指示で、押印のない署名に指印を押す不正が行われたといい、そこに高須氏の女性秘書も参加していたという。

この件に関して取材を受けた高須院長は「私は全く知らなかった。本人に確認したところ『田中さんから指示されて悪いことをしてしまった』と話していた。厳しく注意した」と語ったという。

田中氏の高須院長の責任を庇う発言もウソか

今年4月の段階で、朝日新聞中日新聞が報じていた指印不正。関係者からは、親指を使ったり小指を使ったりして、同じ押印に見えないようにするにはどうしたらいいかと試行錯誤していたという告白があったほか、リコール事務局長だった田中孝博容疑者が、同じくリコール事務局の幹部だった元常滑市議の山田豪氏に対して「ミスター、こうやってやるんだ」と、自ら指印不正のレクチャーをしていたという話も飛び出している。

件の秘書もその現場に居合わせて、不正に関与したということだが、高須院長の弁解によると「何百人もそういうこと(指印)をしている人たちがいたそうでして、その中の1人です」とのこと。みんながやってる雰囲気の中で流されて参加したと言いたげだが、とはいえ知らない人の名前が書かれた大量の署名に自分の指印を押すという行為は、いくら鈍感な人間でも、それが不正だということは分かりそうなもの。それこそ「署名の書き写し」などよりも、悪事を働いているという意識がアリアリで作業していたハズだが、署名活動の不調から来る焦りもあってか、そういった感覚はすっかりマヒしていたようだ。

ただ、そこで疑問に感じてくるのが、リコール事務局長だった田中孝博容疑者が、不正に手を染めた理由として「高須院長に恥かかせられない」ということを挙げていたにも関わらず、その高須院長の秘書になぜ不正の片棒を担がせたのかという点だ。

今回取沙汰されている高須院長の秘書だが、一部では有名な人物のようで、SNS上では「高須家の使用人」「昔からの側近中の側近」との声もあがる。それだけ高須院長と昵懇の人物なら、リコール事務局が不正を働いているとなれば、すぐさま高須院長の耳に入れてもおかしくなさそうで、「高須院長に恥かかせられない」田中容疑者としては、高須院長の秘書に対しても不正行為を隠そうとしてもおかしくない。それなのに、実際はそういった感じでは全くなさそうなのだ。

そうなると、田中容疑者による「恥をかかせられない」という発言は、やはり高須院長らへ疑惑の火の粉が及ばないためのウソだったのではという見方になってくるのは自然の流れ。実際、今回の件に対する高須院長による「知らなかった」というコメントに対しても、「ちょっと考えられないですねぇ」「意図的に目を瞑っていたという事だとしか思えません」など、やはり高須院長が不正に関わっていた、あるいは黙認していたのではという意見が、SNS上で大勢を占める格好となっている。

高須院長は「裸の王様」だった可能性も

このように秘書のリコール不正への関与により、高須院長への疑いの視線もさらに厳しくなっているが、そのいっぽうで高須院長は本当に何も知らされてなかった、リコール運動においてハブられ気味だったのでは、といった観測も一部では浮上している。

田中容疑者の逮捕により、明るみになりつつあるリコール活動内の実情だが、朝日新聞が報じたところによると、署名収集が滞り始めるにつれて田中容疑者らは「妨害工作」を受けていると口にし、それに異論を唱えた請求代表者やボランティアらを、次々と排除する動きに出たとのこと。さらに、応援団として参加していた河村たかし・名古屋市長の周辺者も遠ざけられたようで、高須院長が以前アピールしていた「風通しの良い組織」とは正反対な、閉鎖的な体制へと変貌していったようだ。

くわえて、高須院長の良い意味でも悪い意味でも直情的なその性格からして、もしも自らが旗振り役をしているリコール活動において不正が行われていることを知れば、これまでの署名活動をひっくり返すような行動を取る可能性も大いに考えられる。そんなビックリ箱のような高須院長の扱いに憂慮、あるいは何かとめんどくさがった田中容疑者によって、徐々にリコール活動の中枢からハブられていった、さらに秘書も高須院長の性格は重々知るがゆえに、指印不正への参加を報告しなかった……といった経緯も考えられなくもない。

もしそうであれば、高須院長の「何も知らない」という発言も一応の辻褄が合うが、それと同時にリコール活動の中心人物と目されていた彼が、実は腫物扱いされていたという、哀れな「裸の王様」ぶりも浮かび上がってくる。そもそも田中容疑者は、所属していた維新の「大村潰し」という意向に沿うことが、リコール活動に加わった動機だったと考えれば、高須院長はそんな維新に「まんまと利用された」とも言えそうだ。

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