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中国「顔認証」に再び脚光、脱マスクで買い物も改札も“顔パス”に。日本も追従するか?=牧野武文

コロナで止まった顔認証技術

すぐにマスク付きの顔認証技術も開発されましたが、目の周りだけを使って認識を行うため、95%前後の精度が限界のようです。会社の出退勤管理などでは利用できるレベル(認証に失敗した場合はやり直してもらうか、社員証、スマホなどで補助認証を行う)ですが、さすが決済の認証には使えません。それでせっかく盛り上がってきた顔認証決済が一気にしぼんでしまいました。

それが、新型コロナが終息をして、外出制限がほとんどなくなり、マスクを外す人も増えてくると、再び顔認証に対する注目が集まるようになっています。

現在、中国ではほぼ終息をしていますが、変異種が海外から持ち込まれ、市民にも感染する事態がときおり起きていて、完全終息にはまだ時間がかかりそうですが、多くの都市では以前と変わらない人手が戻っています。

都市によっても異なりますが、公道を歩く時にはマスクの着用は必要なく、店舗、公共機関などを利用する時にマスク着用が義務付けられているというのが一般的なようです。付けたり外したりは面倒なので、道を歩く時もマスクをしたままの人もいれば、あごかけにしている人などもいますが、やはり気温が上がって暑くなると、マスクを外して、必要な時に取り出して着用するという人が増えているようです。

顔認証は、マスクのせいで1年ほど停滞をしましたが、再び前に向けて進み始めると期待されています。

便利すぎた決済のステルス化

顔認証が期待をされている理由は、ユーザー体験の圧倒的な向上です。具体的には決済ステップのステルス化です。

例えば、今、日本でもスマホにさまざまな決済アプリを入れてキャッシュレス決済を使われている方も多いかと思います。例えば、モバイルスイカやPayPayといったものを使われる方は多いでしょう。しかし、この2つは決済をするときに、使おうとしている人がほんとうに本人であるかどうかの確認は行いません(確認をする設定にもできるようになっている)。日常の少額決済に使われることが多く、しかもスマホそのものに顔認証ロックや暗証番号ロックをかけているのが一般的なので、スマホが盗難にあっても勝手に使われることはそうそう起こらないだろうという考え方です。

しかし、本人が暗証番号などの設定をしていなかったり、あるいはスリープする前のロックがまだかからない状態で盗難にあったら、勝手に決済をされてしまうことになります。

本来はスマホ自体にもロックがかけられ、決済をするたびに本人認証を行うという二重認証が理想的です。一方で、ユーザーから見ると、決済をするたびに指紋をタッチしたり、パスコードを入力するのは面倒だと感じます。

しかし、顔認証であれば、本人認証を行っても、ユーザーにはその操作を感じさせない「認証のステルス化」が可能になります。

例えば、iPhoneはFaceIDという非常に優秀な顔認証システムを搭載しています。ApplePayで決済をするときは、サイドボタンを2度押しすると、ウォレットアプリが起動します。この時、顔認証が自動的に行われてしまいます。

つまり、ApplePayでは、iPhoneを取り出して、ウォレットアプリを起動(この時画面を見るので顔認証が行われる)、タッチをすることで決済が完結します。本人はそのつもりがなくても、本人確認が行われ、安全性を高くしているのです。

Next: 電車の改札も勤怠管理も顔認証に。コロナ後の世界はどうなる?

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