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中国「顔認証」に再び脚光、脱マスクで買い物も改札も“顔パス”に。日本も追従するか?=牧野武文

電車の改札も勤怠管理も顔認証に

このiPhoneの例は、非常にうまく顔認証を決済の利用シナリオに組み込んだ好例ですが、今後は他の顔認証でもこのようなステルス化が進んでいくことになります。

例えば、多くの顔認証出退勤管理システムが、出退社するときに、ユニットの前で立ち止まり、顔を正対させるようになっています。顔認証はまだまだ「顔というプライバシーデータを扱う」というイメージがあるので、知らないうちに顔認証をされることに抵抗感がある人が多いのです。そのため、「顔認証をした」ということを意識してもらうために必要なステップですが、技術的にはもはや必要のない手順になっています。

技術的には廊下をただ歩いて、出入り口を通過するだけで、その防犯カメラ映像から顔認証をすることも可能になっています。プライバシーデータという抵抗感が薄れてくれば、ただ出入り口を歩いて通過するだけで、出退勤時間が自動的に記録することはじゅうぶんに可能になっています。

これは顔認証だけではありません。IoT機器というのは、ユビキタス社会を実現するために使われます。ユビキタスという言葉は、デバイスメーカーによって、たくさんのデバイスを持ち歩くための宣伝文句として使われて歪められてしまいましたが、この発想を提唱したゼロックス・パロアルト研究所のマーク・ワイザーの主張は、Back to the Real World(現実世界に戻ろう)でした。個人は、個人を識別する小さな識別チップを身につけるだけで、電子デバイスは持ち歩かない。地下鉄を乗る時にはホームに降りて、電車に乗るだけでいい。社会が用意したシステムが自動的に乗車賃を精算する。仕事をするときは、パソコンを持って歩くのではなく、オフィスのデスクに指を触れれば、そこがモニターになり、必要な仕事ができる。人は、電子デバイスを持ち歩かず、もっと人間らしいことに目を向けるべきだという主張でした。この世界観を実現するのに、生体認証やIoTデバイスが必要になるのです。

顔認証による認証のステルス化は、このユビキタスの考え方に沿ったものです。ユビキタス社会を目指すべきかどうか、実現できるのかどうかには議論はありますが、認証の作業が楽になり、パスワードや暗証番号を忘れる心配もないという顔認証は利便性と安全性を両立できる技術であり、今後の認証技術の中心になっていくことは間違いありません。

ここからは、中国の顔認証、顔認識技術がどこまで進んでいるのか、どんなプレイヤーがいるのか、どんなことに応用がされ始めているのかという概観をご紹介します。

主要な開発企業もご紹介しますので、中国の顔認証技術を調べるときの参考にしていただければと思います。

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・世界と中国の「顔認証市場」規模は?
・マイクロソフトとNECが持つ顔認証関連技術の特許
・ここ数年で中国企業の特許申請数が激増
・アリババ、テンセントの実戦投入
・地下鉄ほか交通機関への導入でさらに便利に
・生体認証にはできないこと
・顔認識産業サプライチェーンの一覧
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2021年7月配信分
  • vo.079:再び動き始めた顔認証技術。中国の主要プレイヤー6社の戦略(7/5)

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2021年6月配信分
  • vol078:ECがビジネスモデルの変革期に突入。ライブコマースによる「興味EC」「アルゴリズムEC」とは(6/28)
  • vol.077:あらゆる商品を1時間以内にお届け。即時配送が拡大する理由とその難しさ(6/21)
  • vol.076:無人カート配送が普及前夜。なぜ、テック企業は無人カートを自社開発するのか?(6/14)
  • vol.075:アリババをユーザー数で抜いて第1位のECとなったピンドードー。そのビジネスモデルのどこがすごいのか?(6/7)

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  • vol.074:アリババはテンセントの軍門に降ったのか。アリババのサービスがWeChatミニプログラムに続々対応(5/31)
  • vol.073:個人商店を系列化する社区団購。主要テック企業が資本を投下し、競争が過熱をする理由(5/24)
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  • vol.070:アリババに巨額罰金。独占を防ぐことで、市場は停滞をするのか、それともさらに成長するのか(5/3)

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2021年4月配信分
  • vol.069:インドネシアで苦戦をするアリババ。発想力で抵抗する地元系スタートアップ(4/26)
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  • vol.067:ビジネスとして成立をし始めたeスポーツ。老舗企業も注目する新たなコンテンツ産業(4/12)
  • vol.066:ネットの中心はテキストからショートムービーへ。始まりつつある大変化(4/5)

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2021年3月配信分
  • vol.065:中国で始まった海外渡航。日本へのインバウンド旅行客はいつ戻ってくるのか(3/29)
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  • vol.063:テック企業にとっての春節。テックサービスを地方と高齢者に伝播をさせる重要な時期(3/15)
  • vol.062:突如として売れ始めた電気自動車(EV)。中国のEVシフトが本格化(3/8)
  • vol.061:再び注目を集める無人小売テクノロジー。非接触と人材採用がキーワードに(3/1)

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  • vol.060:ショッピングモールの不振から見える小売業の変革。人と商品の関係性が変わる(2/22)
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  • vol.058:再び成長を始めたTik Tok。テンセントのWeChatと正面から激突(2/8)
  • vol.057:テック企業に蔓延する996。社会問題化する長時間労働問題(2/1)

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2021年1月配信分
  • vol.056:広告のコンテンツ化が進むビリビリとTik Tok(1/25)
  • vol.055:中国のAI開発体制と2020年のAI応用例(1/18)
  • vol.054:中国最後の巨大市場「銀髪族」。テック企業が注目をする4.7億人市場(1/11)
  • vol.053:保険金の支払いは投票で決める。加入者1億人を突破した「わりかん保険」(1/4)

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2020年12月配信分
  • vol.052:定着をする新中国茶カフェ。鍵は「品質」「ネット」「アート」(12/28)
  • vol.051:限界に達している独身の日セール。それでも記録更新をするアリババ(12/21)
  • vol.050:系列化が進む中国主要テック企業(12/14)
  • vol.049:自動車に関心を示し始めたZ世代(12/7)

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2020年11月配信分
  • vol.048:中国電子産業の原点「山寨機」とは何だったのか?(11/30)
  • vol.047:ライブコマース利用者の4類型と5つの対応策(11/23)
  • vol.046:デジタル人民元の仕組みとその狙い(11/16)
  • vol.045:SARS禍で生まれたEC。SARSで成長したアリババと京東(11/9)
  • vol.044:貧困を撲滅するタオバオ村の成功例と失敗例(11/2)

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2020年10月配信分
  • vol.043:スマートフォンサブブランド戦略はどのように機能をしているのか?(10/26)
  • vol.042:EC「京東」のライフサイクル手法。ビッグデータ解析によるマーケティング(10/19)
  • vol.041:休日消費に起きている変化。キーワードは即時配送、到家サービス、家族(10/12)
  • vol.040:進化が止まらないライブコマース。自動車、マンション、ザリガニまでも(10/5)

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2020年9月配信分
  • vol.039:すべての小売業は新小売になる。既存小売はどこまで新小売化を進めているか?(9/28)
  • vol.038:プラットフォーム化するショートムービー。そのビジネス構造(9/21)
  • vol.037:WeChatへの大転換を可能にしたテンセントと創業者のポニー・マー(9/14)
  • vol.036:デジタル界の無印良品になりたい。中国製造業を変えた小米(シャオミ)創業者「雷軍」(9/7)

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2020年8月配信分
  • vol.035:新中華圏が構築されつつある東南アジアITビジネス(8/31)
  • vol.034:中国の人工知能産業は、米国にどこまで迫っているのか(8/24)
  • vol.033:BATがBATである理由。トラフィック制御からの視点(8/17)
  • vol.032:ソーシャルEC。次世代ECなのか、それとも中国独特のECなのか(8/10)
  • vol.031:大量導入前夜になった中国の自動運転車(8/3)

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2020年7月配信分
  • vol.030:コロナ終息後、中国経済に起きている5つの変化(7/27)
  • vol.029:店舗、ECに続く第3の販売チャンネル「ライブEC」(7/20)
  • vol.028:MaaSにいちばん近い企業。滴滴出行の現在(7/13)
  • vol.027:中国に残された個人消費フロンティア「下沈市場」とは何か?(7/6)

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2020年6月配信分
  • vol.026:中国インバウンド客はいつ頃戻ってくるか?(6/29)
  • vol.025:ポイント還元をむしゃぶりつくす羊毛党とその産業構造(6/22)
  • vol.24:ゲーム業界から注目される女性プレイヤー。「彼女ゲーム市場」とは何か(6/15)
  • vol.023:即時配送が変える小売業態。新小売と社区団購(6/8)
  • vol.022 OPPO、vivoを生んだ歩歩高とその創業者段永平(6/1)

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2020年5月配信分
  • vol.021 感染拡大で実戦投入された人工知能テクノロジーの数々(5/25)
  • vol.020 経済復活の鍵は「ライブEC」。感染拡大から広がる新たな販売手法(5/18)
  • vol.019 生き残りを賭ける飲食業。鍵は「外売」(デリバリー)(5/11)
  • vol.018 ニューノーマル。終息後の新日常は、以前とどう変わるのか?(5/4)

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2020年4月配信分
  • vol.017 アリババとテンセント。ECビジネスをめぐる衝突(4/27)
  • vol.016 敗走するアマゾン、カルフール。理由はグローバルとローカルの衝突(4/20)
  • vol.015 中高年にスマホ決済を浸透させた台湾庶民派スーパー「PX Mart」の取り組み(4/13)
  • vol.014 1日で4.1兆円売り上げる「独身の日」は、どのように生まれたのか?(4/6)

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2020年3月配信分
  • vol.013 1日で420億円の商品を売る。網紅の桁外れの販売力の仕組み(3/30)
  • vol.012 広告メディアとしてのTik Tok。その驚異のコンバージョンの秘密(3/23)
  • vol.011 人口ボーナス消失とZ世代。経済縮小が始まる(3/16)
  • vol.010 中国テック企業は、新型コロナとどう戦っているか(3/9)
  • vol.009 潜在顧客を掘り起こし、リピーターを育成するモバイルオーダー(3/2)

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2020年2月配信分
  • vol.008 新小売戦略の要となったフードデリバリー「外売」(2/24)
  • vol.007 ミニプログラム活用で新規顧客を獲得する店舗小売(2/17)
  • vol.006 中国のEVシフトは成功なのか。それとも失敗なのか?(2/10)
  • vol.005 第2位のECに浮上した拼多多とは何ものか?(2/3)

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  • vol.004 ファーウェイと創業者、任正非(1/27)
  • vol.003 シェアリング自転車は投資バブルだったのか(1/20)
  • vol.002 アリペイとWeChatペイはなぜ普及をしたのか(1/13)
  • vol.001 生鮮ECの背後にある前置倉と店倉合一の発想(1/6)

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image by:B.Zhou / Shutterstock.com
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知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード』(2021年7月5日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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