熱海の土石流が大きな被害となっていますが、これを機にリニアの山梨・静岡路線も再考すべきではないかと思えます。果たして、リニアのルートは100年に1度の自然災害にも耐えうるのでしょうか。(『「ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!」連動メルマガ』児島康孝)
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東海道新幹線は災害に耐えている
リニア中央新幹線で予定されている山梨・静岡ルートは、果たして100年単位の自然災害への対処という視野はあるのでしょうか?なんとなく、熱海の土石流が、暗示しているようにも思えます。
今回、熱海で、土石流の大きな被害が出ていますが、一時運転を見合わせていた東海道新幹線はすぐに再開しています。
東海道新幹線は、1964(昭和39年)10月1日に開業しました。東海道新幹線の着工は、1959年4月で、おそらく当時の技術者は、日本の将来の自然災害に最も耐え得るルートを、可能な範囲で選定したのでしょう。
そのためか、56年以上が経っても、在来線がストップしても、東海道新幹線は動いているという状況があります。当時の技術者の将来を見据えた判断が「ファインプレー」となっています。
リニアルートは100年に1度の自然災害にも耐えうるか?
このところヒートアップしていたのは、リニアの地下トンネルが静岡県の細長い県域いわゆる南アルプスや大井川の上流部分を横ぎり、トンネル内に大量に湧水が発生する問題でした。
大井川の水が減る、いや湧水は全量川に戻すなどなど、静岡県・川勝知事と、JR東海・金子社長が対立してきました。
リニアルートについて、私はどちらかの立場にたって応援することはありませんが、2027年なのかその先かに開業した後で、次の100年間を見据えた判断が必要です。
あらゆる気象条件のもとで、大量の湧水を川に戻し続けるというのは、ちょっとしんどいのではないかという気がします。
自然災害があるかもしれませんし、停電もあるかもしれません。付近には、糸魚川-静岡構造線の巨大な断層があり、将来的に何があるかはわかりません。
東海道新幹線の建設当時のような、叡智が必要ではないでしょうか。
山梨リニア実験線のルートをそのまま使用
リニアといいますと地下トンネルのイメージが強いのですが、山梨県の甲府盆地では、高架路線となります。
山梨リニア実験線のルートは、そのまま活用されます。山梨リニア実験線の西端は、中央自動車道の境川(さかいがわ)PAが近い所です。もう少しアバウトに見れば、中央自動車道の甲府南ICが感覚的にはわかりやすいでしょうか。
そこから、西方向へ進み、南北に走るJR東海の身延線(山梨県の甲府駅~静岡県の富士駅)の小井川(こいかわ)駅・山梨県中央市でクロスし、リニアのルートは、急速に南西方向に曲がります。山梨県内のリニア新駅は、小井川駅から、いくぶん東寄りの場所に予定されています。
そして、南西方向に進んだリニアのルートは、南アルプスのトンネル路線に入っていきます。
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