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「やりたいことがない」人への処方箋。自分探しは無意味、天職はやってみないと見つからない=午堂登紀雄

人間関係のフィット感は馴染んでみないとわからない

快適な職場環境、あるいは仕事の充実感は、何も仕事そのものだけではありません。たとえばどんなにやりたかった仕事であっても、パワハラ上司の下についたら悲劇でしょう。

同僚が会社の不満ばかりこぼしてやる気レスの職場かもしれないし、まじめに仕事をしていたら「アイツ、いい子ちゃんをやりやがって」などとやっかみが入るような職場かもしれない。

それこそアイドル女子グループのように、オーディションに受かったときは天にも昇る気持ちだったのに、内部はドロドロの嫉妬や足の引っ張り合い、ひいては「総選挙」といった公開処刑まである。

テレビで観ていた立場と、実際にステージの上に立つ立場では、見えるものがまったく違う。それに順応して生き残る人もいれば、疲弊して辞めていく人もいるわけです。

同様に、職場の雰囲気とか社風のようなものは入ってみなければわからないし、上司や同僚との相性もやはりわからない。学生の頃のサークルのようなノリとはまったく違うし、アルバイトのような責任の軽いお気楽な立場とも違う。

転職でもやはり前職の人間関係とはまったく違うわけで、会社の文化が違えば職場の風土もまったく違うのですが、外側からは見えない。口コミサイトも参考にはなってもアテにはならない。

なぜなら、どういう性格や価値観の人が書いているかわからないため、自分も同じように感じるとは限らないからです。

募集要項を見て「アットホームな職場です」とあっても、何をアットホームと呼ぶか、人によって基準が違う。「若い人が活躍してます」というのも、実態は人が辞めるばかりでベテランがいないということかもしれません。

では、どうしようもないのかというと、その会社の企業風土を理解する方法はいくつかあります。

たとえば、その会社を訪問した時の受付の対応とか、前述の「面接担当者の気質」などで、ある程度推測することは可能です。面接官が穏やかな人であれば、職場の雰囲気も穏やかなことが多く、逆に高圧的な面接官なら、パワハラ的雰囲気がある職場である可能性が高いとか。面接官がトンチンカンな質問ばかりするなら、会社のポンコツ度も高い可能性がある。あるいは面接官が優秀なら、優秀な人材が多い職場である可能性が高い、とかいうような程度ですが(私が企業の採用担当には社内のエース級を据えるべきだと主張するのにはそういう理由があり、優秀な人材は面接官のレベルを見ているからです。「この程度か」と思われれば優秀な人は逃げていきます)。

ただし、まともな会社ほど「せっかく採用するからには長く働いてもらいたい」と考えますから、「この人は自社の社風にフィットするか」「この人と一緒に働きたいか」という視点でじっくり選別します。そのため、自分に合わない会社からは不採用通知をもらうことになりますから、さほど心配はないと思います。

私が勤務していたコンサルファームの採用面接でも、会社の社風と本人とのフィット感を重視しており、たとえばあまりにギラギラのアグレッシブな人とかは不採用になっていました。

コンサルゆえに多様性を重視しており、本当に様々なバックグラウンドを持った人たちが集まっているのですが、やはりチームで仕事をしますからね。

問題なのはポンコツ企業ほど人が辞めて常に不足していますから、そういうフィット感は無視して、わりと簡単に採用通知が来てしまうこともあります。

むろん自分が本当に優秀なら一発目で「この人は持っているモノが違う」とトップに伝わって即採用になるわけですが、そうでないなら要注意です。

Next: 人の価値観は常に変わり、やりたいことも変化していく

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