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「岸田内閣を売った」海外勢。総選挙の株高アノマリーは不発、11月から日経平均はどう動く?=山崎和邦

筆者の現在のポジション

筆者は上下いずれに向かっても良いように3万600円を付けた時(「治に居て乱を忘れず」と本稿で呼びかけた頃)の前に、稼働資金の約半分を換金した。あと半分は株で持ったままであり、概ね2万8,000円が買い値である。

エルドアン退任後に償還を迎えるトルコリラ建ての割引債(ディスカウント債)で、3A格で利回り10%以上の物にもリラ相場12円台の時は買う。リラが暴落しても、ディスカウント債だから償還時は100ポイントで戻る。本来が「中東の優等生」でNATOの一員であるトルコがデフォルトはしない(筆者がイスタンプールへ行って見たときは、リラは80円台だった)。

株式は上下いずれに行ってもいいような柔軟な姿勢で行きたい。ここは、上下いずれかに決め付けない方がいいと筆者自身は思っている。筆者は言行一致を旨として、市場の中に机を置いて、ものを書くことを旨としてきた。したがって、学術論文の世界でも「これは学術論文というよりも経済評論・株式評論の感じである」と批判を受けたことは何回もあった。元々、筆者が景気循環理論やマクロ経済学に熱中したのは株式投資に精通しようという素朴な希望が原因だったから、これを抜け出すことはできない。

当面の市況と中長期の見方

マクロで見れば、株価動向は以下の3つに左右される。

1:企業業績が基本
2:政治の安定と政策の中身
3:海外要因

(1)について、11月にかけて本格化する4~9月期の決算発表が焦点である。2022年3月期の主要企業の22年通期の見通しを公表した1634社を要約すると、下記の通りである。

22年3月期の主要企業の業績見通しが、純利益が前期比33%増。純利益金額の合計は31.9兆円となる。牽引するのが製造業である。鉄鋼が前期に比べて22倍、自動車は51%増と大きい。非製造業では海運が大きい。海運はコンテナ船の運賃高騰などを利益などで3.2倍になる。大手3社が最高益を更新する。旅行やレジャー関連の業績回復が少々遅れる。

(2)については、衆院解散前後から日本株が大幅に上昇することは、今まで圧倒的に多いということは知られたアノマリーであった。また、投開票日以降の騰落はまちまちであった。過去10年のうちの8年は、年末の日経平均が9月を上回っていた。

ただし、この過去10年と言っても、ほとんどそれはアベスガノミクスの時代であるから、一概には典型的アノマリーとは言えない。ここが大事だが、上昇基調が継続するのは衆院選で自民党が単独過半数を得た場合である。

単独過半数を得れば政権が安定し、滞りなく政策が遂行されるという期待が高まるため、海外投資家を中心に日本株を買う動きが強まる。

菅政権時代の支持率は最終的には29%になった。それが岸田政権になって58%になった。21世紀になって10人の首相が生まれたが、就任時に58%というのは下から2番目である。

新首相に対する支持率と当人の政権担当期間の株価のパフォーマンスはまったく関係ないことは当メルマガで述べてきた。

Next: 日本の経済政策「転換」に警戒する海外投資家

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