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JR東海・東日本の苦境はいつ終わる?赤字に下方修正、“人流”回復時期を読み解く3つのシナリオ=栫井駿介

コロナ後に人の移動は回復するのか?

さらにはコロナ禍での財務的な厳しさを受けて、両社ともコスト削減を行っています。

このコスト削減と需要の回復が見られることで、来期以降の話ではありますが、利益幅が乗ってくるのではないかと期待される理由となっています。

一方で不安としては、コロナが再拡大してしまうと、今の状況がいつまでも続いてしまうということになってきます。

また、ビジネス客については、長期的な目線で見ても、例えば会議であったりお客様のところに行くというのに今までだったら新幹線を使って東京から大阪にも行かなければならなかったのが、今やリモートで終わらせてしまおうというケースが珍しくなくなってきました。

当然、企業としてもその方がコストがかかりませんから、ビジネス客が戻らないのではないか、特に東海はこれまでのような収益を上げ続けられるかというと難しいところがあるのではないかと思います。

そして、コロナ禍がまだ続いて赤字が膨らんでくるようであれば、東日本も東海もJR西日本のように財務基盤強化のために増資を行う懸念も高まってきます。

もっと長期的な見通しをお話しすると、コロナ禍が終わらないということはなく、いつかはこれまでのような状況に戻ることは確かだと思います。

一方で、先ほど言ったようにビジネス客に関しては出張が全部リモートに置き換わってしまうことも想像できますから、完全に戻るわけではないとしておかなければなりません。

しかし、コスト削減を行うとも言っています。

JR東日本に関しては、営業利益が4,000億円のところを1,000億円のコスト削減というインパクトの大きいことを言っていますし、不動産の新たなビジネスも行っています。

JR東海もコスト削減と不動産の活用と同じようなことを考えていて、さらに付け加えるならばリニア新幹線で新たな積み上げを図ってくると思います。

懸念は財務不安

両社の大きな懸念としてはやはり財務不安です。

先ほど増資懸念というところもありましたが、コロナ禍が続けば続くほど借金が増えるということになります。

借金が増えるということは支払利息が増えるということになりますから、利益の減少要因になってしまいますし、当然、配当なども減ることになり、身動きが取りにくい状況になってしまいます。

コロナ禍が続けば続くほど将来に禍根を残すこととなります。

もっと言うとJR東海に関してはコロナと関係なくリニアのために借金が増えていくことがほぼ確かなことで、これが先行きを怪しくしています。

さらに、リニアに関しては作ったらその分だけ収入があるわけではなく、新幹線も残したままなので、乗客が分散するだけなのではないかという懸念もあります。

株式投資というと損益計算書ばかり注目されがちですが、特にJRのような設備投資型の産業では財務状況を見ることも重要ですので、忘れないでいただきたいと思います。

Next: JR各社は買いなのか?アフターコロナのシナリオで変わる投資行動

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