赤字はすでに織り込み済み
ではこの決算と赤字予想を受けて、株価はどう反応しているのかを見ていきます。
JR東海はその発表を受けて、寄り付きでは確かに16,500円を割るところまで下がりましたがその後戻して、なんと最終的には発表前に比べてプラスとなっています。
JR東日本も、発表後の株価というわけではありませんが、東海と同じような結果が想定されるので似たような動きをしています。
これを見て何が言えるのかというと、投資家は実はこの予想の下方修正というのをさしてネガティブに感じていない、すでに株価に織り込み済みだったのかと思います。
それもそのはずで、もう人が電車に乗って移動できていないというのが明らかでしたから、これくらいのことはすでにもう投資家は予想していたわけです。
よって市場は驚くことなく、こういったことがあっても株価が必ずしも下がらないという現象が起きました。
これは株式投資の用語では「織り込み済み」と言いますが、結局は決算によって株価が上がるか下がるかというのは、実際にその決算が良かったかどうかというよりは、すでに市場が織り込んでいるかどうかということが重要になってくるので、投資をする方は決算の数値そのものだけではなくて、それに対して投資家が先を織り込んだ結果、どのように考えているかというところまで見通すようにするとレベルが1つ上がるのではないでしょうか。
下期の見通しは?
先を織り込むとなると、問題は下期の見通しです。
目下、感染状況も相当落ち着いてきて、比較的明るい見通しが立てやすい環境なのではないかと思います。
そんな中で下期だけ切り取って見ると、JR東海に関しては今回の決算発表で2019年3月に対比で70%ぐらいまでは戻るだろうという見通しを立てています。
一方、東日本に関しては83%をまで戻るのではないかと言っています。
どちらかというと東日本の方が楽観的な見通しとなっています。
なぜかというと、1つの期待として挙げられるのは「GoToキャンペーン」の再開ということがあると思います。
現在はコロナも落ち着いていますから、おそらく「GoTo」が再開されるだろう、その恩恵を受けやすい企業としては、やはりJR東日本が挙げられるのではないかと思います。
ちなみにこのJR東日本とJR東海の特徴としては、JR東日本はかなり幅広いエリアを抱えていて、普通の通勤客と新幹線、ビジネスと旅行を大きいものとしています。
一方で、JR東海は収益の大部分が新幹線です。 しかも不動産や流通の方にも手を出していません。 ほぼ新幹線、特に東京大阪間のビジネス客の需要によって支えられています。従って、このビジネス需要というのが大きく影響してきます。
この「GoToキャンペーン」は東京・大阪間の移動というのもありますが、東京から各地に旅行に行くという面に関しては、やはりJR東日本が恩恵を受けやすいのではないかと考えられます。
もちろん東海にもプラスの影響があることも確かです。
そしてコロナ禍が収束したら、GoToに関わらず、帰省なども含めて増えてくるだろうと考えられます。