習近平が固執する「北京五輪」と「台湾の統合」
中国の国家主席はもともと2期(10年)までという決まりでしたが、習近平体制になってその決まりを撤廃しました。
ただし、2022年以降も国家主席を続け、終身国家主席の座を揺るぎないものにするには、習近平主席は何らかのレガシー(歴史に残る実績)が必要と考えているようです。
習近平主席が考えているレガシーの1つが「北京オリンピック」で、もう1つが「台湾の統合」であると言われています。
中国共産党の内部分裂で経済悪化
中国共産党は実は内部は一枚岩ではなく、中国共産党内にも派閥が存在します。
習近平主席と一番反目しているのは「上海閥」と言われる前々任の国家首席であった江沢民氏を中心とするグループです。
上海閥は民間企業との結びつきが強く、アリババのジャック・マー氏も上海閥とのつながりが強いと言われています。不動産大手でその動向が注目されている中国恒大集団も、上海閥に近い企業だと目されています。
逆に習近平氏は、国有企業の多くを牛耳っている立場です。
共産党の本来の思想は、国家の管理による計画経済ですが、鄧小平氏以降の中国は「政治は共産主義、経済は資本主義」という改革開放路線を進めてきました。
その方針が習近平体制になって、徐々に共産党のもともとの考えである計画経済に修正されつつあるのではないかと感じます。
大手IT企業などの民間企業への締め付けが強化されていますが、その多くが上海閥などに近い企業と言われています。
習近平主席は自身と近くない民間企業の力を削いで、国有企業や自分と近い民間企業に併合させていくことで、反目する派閥の力を削ぎ、自身の権力基盤をより強力にしようと考えているように見えます。
もちろん、このような動きには副作用が発生し、中国経済の悪化を招きます。
個人的には習近平体制のこのような動きは、重度の副作用を招き、チャイナバブルの崩壊を招くと思っています。
ところが習近平主席は、コントロールできる範囲で収められると自信を持っているようです。この甘い見通しが、世界経済への重大な影響を及ぼさないか心配です。
しかし、現在の中国の体制では、行き着くところまで行かないと状況が変わることはないでしょう。