fbpx

川勝知事の女性蔑視で台無しになる静岡県「リニア反対」の民意。辞任を迫る自民党の狙いとは=原彰宏

静岡県水源の危機!? 世間の関心が薄れたリニア新幹線「反対」論

この女性蔑視発言で世間の関心が薄れそうになっているリニア中央新幹線建設に関して、川勝知事が指摘している問題点について言及していきます。

静岡県最大の危機だ。命の水が失われるのか、岐路に立っている……これが、川勝知事の選挙において終始訴えていたことです。つまり、川勝知事が当選したことが、民意は「リニア建設反対」ということだと主張しています。

水資源や生態系への影響を懸念……と言っています。流域の62万人の暮らしを支え、地元では「命の水」とも呼ばれる大井川の水への影響を心配しているのです。リニアのトンネルが、南アルプスの地下深くで、この大井川の源流の下を貫くように計画されているからです。

去年10月には、静岡県特産の「茶」の生産者など、流域のおよそ100人が原告となり、県内工事の差し止めを求める訴えを裁判所に起こしています。

山の表面から最大で1,400メートルもの深さの場所で掘り進められるのですが、たしかに地中には、大井川の水源となる大量の地下水がため込まれているとみられています。

JR東海によれば、何も対策をとらなかった場合、工事によってトンネル内に地下水が湧き出すことによって、大井川の水は最大で毎秒約2トン減るという試算を出しています。

これは60万人分の生活用水に匹敵する量だ……JR東海は、水を通すための導水路をつくり、トンネル内に湧き出た地下水を集めて大井川に戻す対策を取るとしています。

ところが、トンネルの一部は山梨県側から掘り進める計画で、地質状況の把握などのために、本体のトンネルより先に掘られる「先進坑(せんしんこう)」が貫通するまでの間、山梨県内へ水が流出するそうで、静岡市の推計では、何も対策がとられなければ、その量は、最大で500万トンになると指摘しています。

静岡県としては、この山梨県側に流出した分も、大井川に戻して欲しいと要望しています。

岸田内閣 vs 川勝静岡知事

このやり取りがあった上で、岸田内閣発足後の、斉藤鉄夫国土交通大臣と川勝知事のやり取りを見てみましょう。

10月8日に開かれた定例会見で、リニア中央新幹線の静岡工区問題について記者の質問に、斉藤鉄夫国土交通大臣がこう答えました。

10月6日に開かれた川勝平太静岡県知事の会見によると、有識者会議の中間報告素案では、地元から求められている大井川の全量戻しについて、トンネル掘削時に流出する水を戻す方法ではなく、掘削後に水をプールに貯め、そこから数十年かけて戻す方法が提案されているという。<中略>

また、川勝知事が静岡工区の南アルプストンネル工事をJR東海へ中止するよう求めていることについてどう考えているのかという質問に対しては「川勝知事の要請は、時間的に、知事の要請があって私の発言があったのではなく、私が発言したときは要請について存じ上げていませんでした」とした上で、要請を踏まえて、国交省として検討していきたいと述べた。

※参考:岸田首相のリニア推進指示に静岡県知事が反発…斉藤国交相「県民の意思をないがしろにすることはあり得ない」 – レスポンス(2021年10月11日配信)

川勝知事は、斎藤大臣の提案に対して「到底、承服できない」と反発しているのです。

Next: 静岡県にとってはデメリットしかない。知事辞任で民意はどこへ?

1 2 3
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー