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ウクライナ侵攻で相場急変、いま投資家が「やってはいけない」3つのこととは?短・中・長期の投資戦略も=栫井駿介

早期決戦?泥沼化?経済的影響は

では、ロシアのウクライナ侵攻によって何が起こるでしょうか。

欧米諸国はロシアに対して、輸出をストップしたり金融取引をさせないなどの経済制裁を行いました。

これによってロシアが経済的に苦しくなるのは間違いなく、ロシア株も大きく下がっています。

同時にロシアも対抗措置を取ります。

主な対抗措置として、原油や天然ガスの輸出を制裁を科した国に対してストップするということが考えられます。

ロシアは原油や天然ガスの巨大輸出国なのです。

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原油では世界2位、天然ガスでは世界一の輸出量となっています。

ロシアの輸出先の半分はヨーロッパで、それが止まると当然原油価格が上昇します。

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また、ロシアからパイプラインを通じて天然ガスをヨーロッパに輸出していて、特に影響が大きのがドイツです。

ドイツは経済的にも政治的にもロシアとのつながりが深く、天然ガスに関しては4割がロシアからの輸入ということで、それが止まると経済的なダメージが大きいです。

したがって、ドイツ株も下がっています。

各国が原油や天然ガスをロシア以外から調達しなければならなくなると、原油価格が上昇します。

それ以前に人手不足や船が出ないなどの理由で今原油価格が7年ぶりの高値というところまで上昇していて、原油価格はあらゆる商品の価格に影響があるので、世界各国でインフレが懸念されている状況です。

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ここでさらに原油価格が上昇するとなると、インフレのさらなる加速が想定されます。

世界はそれを警戒し、それに伴い株価も下がっています。

最悪のシナリオとして想定されるのが、今インフレを抑えるために金利を上げるテーパリングを行って景気を冷まそうとしていますが、その一方で原油価格が上がり、不景気下でのインフレ、つまりスタグフレーションが発生することです。

そうなると多くの企業はかなり苦しい状況となってしまうので、市場は警戒しています。

もっとも、原油価格の上昇が金利の上げ幅を抑える役割を果たす可能性もあり、物事は常に一方向に動くわけではなく、あらゆることが総合的に作用して動くものだと認識してください。

ロシアの強行で、欧米諸国は対話による解決を目指していましたがそれもままならなくなってきました。

プーチン大統領としては、ウクライナを完全に手中に収めてしまおうとするのではないかと思います。

このまま放っておいても、ウクライナがNATOに加入する可能性がくすぶり続けることになりますから、ならいっそロシアの中に取り込もうという思惑です。

そうやることで、対外的にも対内的にも、強いロシア、強いプーチンを印象付けられるということになります。

欧米諸国も、現時点ではウクライナはNATOに加盟していないので、集団的自衛権を行使することもできず、おいそれとアメリカ軍やNATO軍を派遣することも現実的にはできません。

よってこの戦闘に第三者が介入する可能性は低く、ロシア対ウクライナの戦争になるのではないかと思います。

そして、ロシアの方が強いということも確かかと思います。

一方でロシアとして苦しいのが経済制裁です。

どこかで手を打つことにはなるかと思いますが、安易な道筋があるわけでもなく、事態が泥沼化する可能性もあります。

もっとも、経済的なことを考えると欧米諸国としてもなんとかしたいわけです。

このまま原油価格が上昇するとスタグフレーションが現実味を帯びてきますので、それは避けたいところです。

こうしてみると、多くの人はこの戦争を早く終わらせたいと思っているのではないかと思います。

一方でアメリカなんかは軍事産業の声が強く、戦闘が続いた方がいいと考えるかもしれないので、確定的なことは言えません。

ここで漁夫の利を得ているのが、中東諸国であったり原油を生産している企業であったりします。

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