<SWIFT排除は、自由主義諸国によるロシアへの宣戦布告と同じ>
もしもロシアの金融機関がSWIFTを使えないということになると、ロシアの金融機関を通じて海外からのお金を受け取ったり、海外に送金したりしていた仕組みが相当難しくなるというわけ。銀行間で信頼性の担保された資金決済の情報伝達が不可能とは言わないが、難しくなるためだ。
原油や天然ガス、その他資源の輸出入の相当な困難が発生する。ルーブルの信認はとてつもなく下がるだろう。海外投資家がロシアの株を買ったり売ったりするのも難しくなる。
もちろんそれ以外の情報伝達・決済方法はゼロではない。しかしその影響は大きく、8年前にクリミア紛争が発生した時にSWIFTからのロシア除外が検討された時には、ロシアのメドベージェフ首相(当時)は「それはアメリカによるロシアへの宣戦布告と同じ意味だ」と反発したことがある。それくらい経済的には意味が大きい、と。
じゃあ、とっととやればいいじゃないか?という話だが、もちろんそうなるとロシアに石油と天然ガスを一定量以上依存するヨーロッパは、それらを買い付けることがかなり難しくなる。なので躊躇してきた。
にも関わらず、SWIFTからの排除を決めた(まだ公式発表はされていないが複数のニュースが排除決定を速報している)のは経済的に大きな返り血を浴びてでもロシアを兵糧攻めする、という決定がなされたということ(※編注:原稿執筆時点2022年2月26日8:30)。
実際にミサイルが飛ぶわけではないが、経済的にはロシアと自由主義諸国の間で「宣戦布告がなされた」と解釈すべきだろう。
それくらい欧米首脳が週末にかけてのプーチン大統領の言動に危機感を覚えたということでもある。株価はまだそれを織り込んではいないと思う。
2月25日(金)21:10 配信号
2/24(木)アメリカ株が大きくリバウンドするきっかけになったのは「西側のロシアに対する経済制裁が甘い」という市場の判断だった。
返り血を浴びる(アメリカ経済も打撃を受ける)ような覚悟があるなら、
・SWIFTシステムと言われる国際銀行間通信システムからロシアの銀行を除外する
・エネルギー関連企業の決済を認めないなどの制裁措置
が取られて然るべきだった。 しかしアメリカは行わなかった。これで「先鋭化した米露の対立はさけられるかも」という見方になり、株価が上がった面が強い。
逆に言えば今後これらの制裁が行われれば、実際に経済への影響は大きいし、2/24(木)上げた分は吹っ飛ぶ可能性が高くなるだろう。
この2点は常に気にしておいて。
(筆者注:このメルマガは新天地の考え方を書いたもので、特定の銘柄及び指数に関する商品の売買を推奨または指示するものではありません。銘柄の値動きについては想定と違う場合もあります。投資される場合は読者の方独自の責任で行われるようお願いします。)
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『新天地の株式投資日記』2022年2月25日・26日号号より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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