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問い合わせ殺到「核シェルター」。普及率0.02%の“シェルター後進国”日本にもようやく設置の機運。ふるさと納税の返礼品にも登場

ロシアによるウクライナ侵攻の開始から1か月。戦況の泥沼化も囁かれるなかで、日本国内では家庭用の核シェルターへの問い合わせが激増する状況になっているようだ。

沖縄タイムズによる報道では、「米軍や自衛隊の基地を多く抱える沖縄からの資料請求もある」として、国内に複数あるという住宅向けシェルターを扱う販売業者の現況を紹介。

とある販売業者によると、創業してからの50年間で地中に設置するタイプのシェルターは6台ほどしか売れていなかったということだが、ウクライナ侵攻後は1日数件の問い合わせがあるといい、週末には大阪府内にあるショールームに北海道から足を運ぶ方もいるのだという。

問い合わせ殺到の家庭用シェルター、その値段は?

このように俄かに注目を集める格好となっている家庭用シェルターだが、地下に設置するというお馴染みのものから、既存の家の中に設置する鋼鉄製のシェルターまで、そのタイプは様々ある模様。

いずれも気密性に優れた設計で、核攻撃を受けた後に浮遊する放射性物質や、生物兵器や化学兵器によるウイルスや殺菌、サリンやマスタードガスなどを、居室内に取り込まないような換気システムを装備。核ミサイルなどが爆発した際のインパクトに耐えるというよりも、攻撃を受けた直後から数週間の間、汚染された外気に触れることなくやり過ごすことを想定した設備となっているようだ。

ちなみに先の記事によると、地下に設置する厚さ6ミリの鋼鉄製シェルターが、4人用で1500万円から。また厚さ30センチのコンクリートで造った地下に設置する約10平方メートルのシェルターなら、800万~1000万円が相場だという。

さらに、家の中に設置する鋼鉄製のシェルターだと、4~5人が入れるもので750万円ほどだということで、いずれにしてもおいそれと買えるような価格ではないようだ。

さらに最近では茨城県結城市や栃木県矢板市など、ふるさと納税の返礼品のひとつに家庭用シェルターを加えるところも出てきているとのこと。

今年2月から返礼品に加えた結城市で扱うのは、地元の板金加工会社が製造・販売している最大5人まで収容できるサイズの鋼鉄製防災核シェルターで、寄付金額は2090万円。ただ、設置費用などは別途必要になる場合があるという。

諸外国と比べて格段に低いシェルター普及率

このように日本国内でも個人導入の機運が高まっている核シェルターだが、地下に設置するようなタイプだとなおさらだが、前提として自宅が一軒家の持ち家である必要がある。

仮に他国からの核ミサイルによる攻撃を想定した際、そのターゲットが首都・東京になる可能性はかなり高いが、総務省統計局が5年に一度調査している住宅・土地統計調査によると、東京都全体における持ち家一戸建ては23.1%で、23区に限れば17.8%。都内に住む約8割ほどの世帯にとって、来る有事に備えて核シェルターを設置……という話は、まったく現実味のないもののようだ。

そうなると、有事の際に頼りになるのは公共の避難施設であるが、全国の自治体が指定する「緊急一時避難施設」約5万2000か所のうち、地下施設は1300か所にも満たないといった報道も。

そもそも日本は、人口あたりの核シェルター普及率が諸外国と比べてもすこぶる低く、NPO法人「日本核シェルター協会」なる団体の調査によると、その普及率はなんと0.02%。公共施設や各家庭に核シェルターの設置を義務付ける法律があるスイスやイスラエルといった国が100%なのをはじめ、世界一の核保有国であるアメリカも80%強の普及率となっているのと比べると、日本はまさにお話にならないレベルだ。

もはやマトモな国ではなくなった感もあるロシアもさることながら、弾道ミサイル等の飛翔体発射を繰り返している北朝鮮など、お騒がせな隣国に囲まれているにも関わらず、核シェルター設置に対するここまでの意識の低さ。ひとえに、戦後日本の“平和ボケ”ぶりが如実に表れたものとみて間違いなさそうである。

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